これは現実ではないという思いがありつつ、それをところどころで忘れる。映画を見ている最中だったが、いつしか観客からスクリーンの中へ移行した。チェーンソーで襲いかかった男が返り討ちに遭い、彼が死んでなおチェーンソーは稼動を続け、死体を切り刻んで終いには跡形もなくなった。ジャンルがスプラッターからサスペンスへと変貌を遂げる頃、僕は登場人物の一人になっていた。そして僕はこの結末を知っていた。皆、殺される。カルト教団に入信して、系列のホテルで説明会らしきものを受けた。受講しているのは20人弱程度。途中で逃げ出さなければならない。それは実際に目を覚まさなければならないということで、起きる前にこの映画が終わることは死を意味する。ということになっている。機をうかがった。講習を終え、洗礼の儀式の会場へ移る時がチャンスだと思った。履いているスリッパでは逃げ切れないと判断し、他の人に気を配りながら荷物から自分のスニーカーを取り出す。全員の視線が僕のいるほうと逆を向いた瞬間、近くの窓の鍵を開け、靴紐を口にくわえて飛び降りた。下は川だった。着水、浮上で目を覚ます。