他人の夢に潜り込む能力を持つ主人公の影沼京一はアンチ・ヒロイズムに徹するが、彼のセリフには説得力があった。心を読むことにも長け、欺瞞を見抜き、うがった見方しかできないのは悲劇であるものの、小鼻にしわを寄せて「ああ嫌だ嫌だ」と皮肉屋のように、敬慕の的から程遠いところがむしろヒーローとして共感する。
一見は自殺のようだが奇怪な死が続き、警察は二つの線で捜査に乗り出した。共通項である死の直前の電話履歴からその人物“0”を割り出そうとする関谷刑事たちを尻目に、キャリア出身のエリート女刑事・霧島はオカルト路線で解決の糸口を探ることを強いられた。影沼に白羽の矢が立てられ、夢の中で犯人と対峙することになる。
カメラは被写体に肉薄して煽られる。「今タッチしました」という得体の知れないものに対する畏怖と重なって、眠りへの恐怖が伝染した。影沼と0の過去が紐解かれ、トラウマから形成された構造と動機も描き、根底が揺るがない。原田芳雄が演じた影沼への最初の依頼人の名前、大石恵三といえばバカルディとホンジャマカを想起させ、塚本本人が演じた0はモンスターの中にコミカルさも併せ持つ。そういえばコメディとホラーは表裏一体という話を聞いたことがある。
hitomiの演技力は何とも形容しがたく、シリーズ化の話も小耳に挟んだが、彼女がレギュラーで出演すると思おうとゾッとする。独自の路線を貫き、あらゆる作業を一手にこなし、海外での評も高い塚本晋也は固定ファンを掴んでいる。数えてみたら僕もそこそこ鑑賞して、性癖であるがごとく無機質マニアをこれからも追うつもりでいるだけに気がかりだ。