しこたま買い物をして持てなくなったブンレツさんはスーパーから僕に電話をした。荷物係として働けば、帰りしなに甘味処であんみつをおごってくれるという。以前、気分転換に通った裏道で発見したらしい。
その通り1本外れた道は、天気も手伝ってさわやかだった。車の往来は格段に少ない。木々の樹齢は長くうっそうとして「スピスピスピ」と鳥のさえずりが聞こえる。所狭しと植物を置く、蔦が絡まる古い家屋があった。太陽を多く取り込む造りに改造して、主人自慢の家庭菜園は見事だった。
その家を通り過ぎて程なく、甘味処に入った。猫がいる。ブンレツさんは動物全般が嫌いである。一瞬、顔をしかめたのを僕は見逃さなかった。その猫は飼い馴らされて、ブンレツさんをお構いなしに寄ってくる。僕の隣のイスに座って、僕の手に頭をゴツゴツと当てた。ねだっているようだ。頭を撫でると目を細めていた。撫でることに飽きて、耳や尻尾にちょっかいを出すと、猫の体は臨戦態勢に入り、ガリッと爪を立ててガブッと拳を噛んだ。
そこを後にして近くの円泉寺へ。聖徳太子がまつられている。卒塔婆を見比べて、ブンレツさんに墓場の趣
を説きながら家路に着いた。