半袖魔人・大塚の「やる気ない投法」が一転、中日時代に拝んだ躍動感溢れるフォームに変わる。韓国に2敗し、アメリカを象徴するようなボーク・ボブ・デービッドソンにも阻まれ、しかしメキシコの意気に助けられた形で残った日本。暴力的なアメリカによる経済措置が理由で出場すら危ぶまれたキューバ。試合前になぜ「星条旗」が流れるのか疑問が湧いたが、両国は白熱した好ゲームを展開した。
どれだけ点差を広げてもキューバは諦めない。不屈の闘志は継投にも表れて、これは日本にはない、というかできない手法の脅威を感じた。ワンチャンスで逆転できると信じているようで、それが伝わってきて5点リードが怖い。イチローが鼓舞し続けた士気が土壇場で発揮され、退けた。
頼りがいがあり崩れない上原を長男とするならば、力は随一だが独り相撲に陥りやすい松坂が次男坊で、負けん気の強さが裏目に出ないかとひやひやした。しかしMVPの名に恥じないピッチングだった。今日の試合で波に乗せたのは今江の初回タイムリー。先日の守備エラーを見事に挽回した。福留もリーグ戦の不調を払拭する2試合連続の巧打が光った。ここが、あの顔で自分がかっこいいと思っているところがかっこいいと言われるゆえん。キューバとの、最後の握手が余韻を助長する。