豪邸が立ち並ぶ閑静な住宅街を朝、歩いた。その中で浮いている家を見つける。白を基調としながら扉や窓の枠は黄緑で縁取られ、ところどころに金色の何かがある。何だろう。分からない。洋館のようでいてそうとも言い切れない。宗教の教祖か、センスが突拍子もない暴力団幹部か。家主は特殊な業界に身を置き、そこでかなりの額を稼いでいそうなたたずまいだった。セコムのシールと防犯カメラで、僕はシャッターが切れない。デジカメを表に出すことすらできない。
門の前に高級車と、その中にはお抱えの運転手。読書をしながら主人を待っていた。狭い歩幅の僕と目が合い、本を助手席にある鞄にしまった。背表紙に「ゴルゴ13」のロゴが確認できた。