「彼だったらキスしてもいいわ」とブンレツグランマは言った。彼とはグランマが気に入っている、若い男前の介護士を指す。腹回りが僕よりも大きい80過ぎた婆の戯言はみっともないと思って「向こうが迷惑がるから。いい年して気持ちの悪いことを言うな」と戒めると、露骨に嫌な顔をした。本気だったようだ。

寝たきりの状態 が続いて、ボケの進行が恐ろしいほど早い。現実と妄想がごちゃ混ぜになって、とんちんかんなことを口にする。コンディションが変わり、ベッドからただ韓流ドラマを見ているだけでは、脳の活性化が乏しい。このまま本格的にボケていくのだろうか。脳細胞の虐殺が目の前で行われているようだった。