所用の帰り、駅に向かっているつもりが道に迷った。そして廃墟らしきビルを見つけた。中に入るとしかし、郵便受けには表札があって人は住んでいるようだった。電気も通っている。一旦外に出て、再度外観を眺めた。通りに面した部屋はカーテンがなく、中の様子も見えたが、そこは明らかに何年も住んでいない。また中に入り、階段を上る。複雑な造りをしている。部屋から明かりが漏れているところがあった。人の気配もある。それでも半分は空室のように思えた。ドアの開く音がしたので、足音を立てずそれでいて足早に外に出た。携帯電話で話しているふりをする。こぎれいな格好をした中年女性がマンションから現れた。携帯に住所とマンション名を控えてそこを後にした。彼女が歩いて行った方向に進み、程なくして駅にたどり着いた。
家にてネットで調べてみると1972年築、空き物件にもなっている。価格や賃料は表記されていなかった。立地条件は悪くなく、そこそこ値は張るとみた。