20年近く会っていない、20歳近く年上の親類が死んだ。今年一番の冷え込みと言われた日に、公園の木で首をくくり、早朝発見された。
ソウウツカズンの親であるソウウツセカンドアーントとはまた別のアーント、ソウウツファーストアーントには3人の子供がいた。イチバンウエは学業優秀で歯科医になる。イチバンシタは少し知的障害がある。マンナカに手間はかけなかった。赤の他人であるブンレツさんはマンナカの中学校卒業式に、アーントの代理で出席した。彼の父親は早くに亡くなっていて、アーントは仕事優先の人間だった。そのアーントも20年前に病死した。それ以来、僕はアーント一家と疎遠になる。
イチバンウエは独立し、イチバンシタは嫁ぎ、マンナカがアーントの家と家業を継いだ。それが悲劇の始まりだった。マンナカの妻はアーントの死を機に、自らの親と妹夫婦を彼女が遺した大きな家に同居させる。マンナカは四面楚歌だったが、情の薄い親族に頼らず頼られず、しかし彼の性格は飄々としてそれをおくびにも出さない。
悲劇は、それ以前から始まっていたのかも知らん。アーントには税理士がついていて、それは彼女の愛人でもあった。アーント亡き後も税理士は離れない。人の良いマンナカはむしり取られていた。さらに、その税理士は、マンナカの妻とできた。マンナカは、自らの母と妻が。
マンナカは手先が器用だった。僕が高校生まで使ったベッド。ソウウツシニアとブンレツさんの結婚記念にそれは、マンナカが作ってくれたものだった。趣味はプラモデルで、同じ趣味を持つ仲間の名前を、プラモデル一つ一つにつけてあった。
イチバンシタの夫もまた早くに亡くなり、マンナカだけがイチバンシタに優しかった。そのマンナカが自殺したとイチバンウエは言えず、イチバンシタには真相を隠して心筋梗塞だと伝えた。
マンナカは人の迷惑になることを嫌った。この世を去る前に全てを用意した。遺影までも。
彼の妻と子供は、通夜の時でさえケロッとしていたという。近しい人は悲しまなかった。僕がその場で悲しめなかったのは、知らされた時には既に通夜が終わっていたから。ソウウツシニアも、イチバンウエも、呼ばれなかった。