カーテンコール プログラム・ピクチャー時代末期の昭和40年代前後、下関の映画館・みなと劇場にて幕間芸人を務めていた安川修平とその娘の美里の確執と和解を描く。取材を通して二人を見つめた香織とその父・達也もまた距離を縮める。

在日朝鮮人問題に大きく関わる作品だった。修平は在日であるためにみなと劇場の職員になれない。映画を愛し、笑顔を絶やさず、興行に尽力したところで、偏見は消えない。劇場を解雇され妻と死別した修平は、幼い美里を残して身寄りを頼りに故郷の済州島で職を探した。雑誌の企画を進めるためにみなと劇場と修平を調べる香織もまた、在日コリアンに対して偏見を持っていた。中学の頃、同級生でスポーツ万能・成績優秀だった金田から告白を受けたが、彼が在日であることでふるいにかける。香織は恥ずべき過去を省みながら修平と美里の再会に努め、金田とも再会を果たして謝罪した。監督の佐々部清は自らの故郷である下関を舞台として、いつの頃から映画が好きだったのだろうと思い出した時、その情景として在日に対する差別の記憶も呼び起こされたのではないかと感じた。

劇中、時代は行き来した。安川修平と劇場のもぎり・宮部絹代は若き日と現在の両方で登場する。修平を演じた藤井隆と井上尭之、宮部を演じた栗田麗と藤村志保、両者共に無理があったが、仕草などで統一させようとする努力は見えた。映写技師役の福本清三はさすが職人が似合う。