ランド・オブ・プレンティ ヴィム・ヴェンダースといえばロードムービー、ロードムービーといえばヴィム・ヴェンダース。その定義も分からないまま自らの趣向のジャンルに挙げて、場所の移動や時間の経過と平行して心境が変化するキャラクターに感情移入する。パトリオットとコミュニストという温度差がかけ離れた旅路はおそらく道なき道、開拓精神にのっとっていた。

9.11アメリカ同時多発テロ事件から2年経ったロサンジェルス、ポールはとり憑かれたように街の治安を案じ、友人のジミーを従え二人でその維持を努めていた。ベトナム戦争の後遺症に悩まされ、さながらドン・キホーテの妄言癖を繰り返し、国粋主義を振りかざす。ポールの姪・ラナは時を同じくして10年ぶりにアメリカに帰国した。死んだ母から手紙を託され、それをポールに渡すため、伝道所に身を置いて彼を探す。彼女の博愛もまた危うい。二人の目に映るアメリカは全く異なっている。

ドイツに生まれたヴェンダースが9.11を撮る。ラナがあの事件をイスラエルで聞き「人々は歓声を上げた」というセリフも、ポールの異常な言動も客観的に捉えていると思えた。

ジミーを演じたリチャード・エドソンが「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のエディだと知り、あれから20年もすればそれは老けるだろうと年月を感じる。Sonic Youthの元ドラマーはこれほど頭が悪そうな顔をしていたかと、もちろんそれは役柄のせいでもあるのだが。