チャーリーとチョコレート工場 1971年の作品「夢のチョコレート工場」との比較をしたかったのだが、小学生の時に見た記憶では既におぼろげで、活字として読んだのか映像として見たのかすら定かではなく、大まかなあらすじしか覚えていなかった。

平凡な少年チャーリーは、世界中で食されているウィリー・ウォンカのチョコレート工場の近く、町外れの傾いた家に暮らしていた。家計は非常に苦しいが、家族思いで健気な彼は両親と祖父母4人、愛の絆で固く結ばれている。チョコレート工場の見学を5人の子供に許可するとの発表があり、その当たり券“金のチケット”が入ったチョコレートは5枚だけ。誕生日のプレゼントとして毎年1枚しか食べられない貧しいチャーリーがそれを得るチャンスは少なかった。ここまでの色彩はほぼモノクロとチョコレート色で、後半との抑揚を効かせた。

運良くチケット入りのチョコレートを手に入れたチャーリーは、他の4人の子供たち、それぞれの同伴者とウォンカの工場へ足を踏み入れる。ここからは極彩色で童心に返る。中はまさに夢の工場で色とお菓子に溢れていた。幻想的でユーモアに富んだ工程を経てチョコレートは出来上がる。ウォンカの忠告を無視して工場内でエゴを貫くチャーリー以外の子供は、体が膨張したり縮小したりして次々と脱落した。最後まで残ったチャーリーを、ウォンカは後継者として見初める。観客の心を一体化へ導き、勧善懲悪である。

原作ロアルド・ダール、監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップの奇人三つ巴は、一つのファンタジーの頂点ともいえよう。いかにもフェイクの世界観と人間味を感じさせないキャラクター、しかし家族愛がメインテーマとなって温まる。リアリティの観点が異質だった。