電車に座っている。扉が開いて中学生くらいの女の子が乗ってきて、空いている席を見渡すも諦めて僕の前に立った。ポップな柄のノースリーブに大きなトートバッグを持って、細長い手足と団子状のまとめ髪がバレエ帰りを思わせる。際立って美人とはいわないが、すっきりした顔立ちと涼しげな目許に愛嬌がある。

乗降が激しい駅に着いて、彼女は僕の対面に座った。コンビニのビニール袋に入ったウーロン茶1リットル紙パックをひっきりなしに飲む。顔や耳や腕をひっきりなしに擦る。目立ちはしないが、察するところアトピー体質のようだ。幼い頃に砂壁で背中をこすっていた自分と重ななった。

「あと数年して、君は悩みを抱えるかもしれない。それでも大丈夫。そのままでも充分に魅力的だから」爽やかな彼氏を作り上げたり、そして淡いラブストーリーまで組み立てたり、勝手に膨らませて下衆な話。