プラトニックなラブ・ストーリーだった。海辺の病院に勤める独身の中年医師のもとに、初恋の女性が患者として入院し、再会を果たした。自らも病魔と闘いながら彼は、献身的に彼女を治療する。脚本に、SUPER BUTTER DOGの名バラード「サヨナラCOLOR」を想起した竹中直人の監督作。
出演に多くのミュージシャンが参加した。端役にまで豪華である。海辺でのスチャダラパーとAFRAの即興ラップ。BIKKE、原田郁子、永積タカシの点滴を刺した3人のやりとり。本筋と直接には関係ない場面が挟み込まれ、それが映画において必要性があるかどうかは別問題として、スパイスとして効いた。エンドロールで確認すると、気づかなかったアーティストもいる。竹中直人の映画は彼の交友関係が分かり、それが多岐のジャンルにあることが示されている。最も気色が悪かったのは井口昇で、役とも素とも区別がつかない変人医師を怪演した。
高校の同級生で、恋心を抱いていた未知子の担当医となった正平は浮き足立っていた。当時は喋ることすらままならなかった相手が目の前にいて、いつでも会うことができる。しかし未知子は彼のことを思い出せない。未知子に自分を思い出させるため、病気を克服する精神にエールを送るため、正平はしつこく接した。彼女の心境に変化が訪れる。夜の病室、影絵で未知子の気持ちを明るくさせようとする正平。カーテン越しに彼らの影が映り、笑いながら二つの影が一つになる。気持ちが向き合ったことを表した。未知子の回想で、恋人の雅夫とフランスの海岸を訪れるシーン、彼が尿意をもよおして海に向かって立ち小便をする。雅夫は彼女にも促すが恥ずかしがってしなかった。正平と海を訪れた時には、彼の立ち小便の横でスカートをまくって座り込んだ。気持ちを許したことを表した。
定番のうつ伏せは、クライマックス間近のシーンで登場する。ペーソスにユーモアを混ぜた。コミカルでキレのある動きは真似して身につけたい。