舞台はおそらくハンガリー、戦争下の特異な環境で育った双子の少年が「僕ら」という一人称複数で事象を捉えていく。二人は客観性を重んじ、実に淡々と生きるすべを身につけ、成長する。徹底して一貫した俯瞰の目。それが周囲の人間にとって脅威で、狂気に感じられ、嫌われていた。

彼らと彼らにかかわる人々との日常が、短い短編に切り取られた。著者の、名前をアガタ・クリフトフというパロディーのような本名を持つ女性は、これが処女作で出色といえる。異彩とは何てコケティッシュな輝きを放っているのだろう。それは自分には真似できないからこそ。

アゴタ・クリストフ
悪童日記