大阪の初代通天閣に祭られていたビリケンが現代に蘇った。2008年のオリンピック誘致として新世界が挙げられ、通天閣界隈は反対運動に奔走していた時、ビリケンが住民の願いを叶えていく。
木造の置物であるビリケンが飾られたことで、人間の姿をしたビリケンが蘇る。通天閣の先端に立ち大阪の町を見下ろすビリケンに焦点を絞り、空中から旋回しながら捉えた。それが初登場シーンで、ダイナミックな映像はラストとリンクする。賽銭を放り、木造のビリケンの足の裏をなでることが願掛けで、劇中で初めてなでたのが通天閣にしょっちゅう訪れる学童保育の先生・月乃だった。これにはこだわりを感じた。
通天閣から降りるとビリケンの姿は見えなくなるが、双眼鏡を逆から覗くと姿が映る。月乃の教え子である清太郎とビリケンが線路沿いを並んで歩く。それを前から撮る時はビリケンの姿があり、後ろから撮る時はその姿がない。会話の主導がどちらにあるのかを表現した。
ビリケンの評判が下がって、ビリケン像が骨董屋に売られると彼の能力は一時失われた。高架下で日立のダンボールを家にするビリケンが愛らしい。通天閣に像を戻し、双眼鏡を覗く月乃に「好きでした」と過去形で告げるビリケンがいじらしい。
阪本監督・豊田脚本作の2本目を選んだつもりがパッケージと中身が違い、クレームをつけにレンタルショップへ勢い込んで出向いた。今日から1週間の無料レンタルで本作を、加えてサービスチケットをくれたので許す。