歯科廃屋 番地一角が屋敷となっている豪邸があり、その3軒先には歯科医院の廃屋があった。自転車を止めてしばし眺める。うっそうとした木々で、そこ一帯の気温が低く涼しい。売ればかなりの値段になるはずである土地を、手放さずに放置してある。表札は現代で使用されていない漢字で記されている。

廃墟好き として侵入しないわけにはいかない。しかしどこも鍵がかかっていて屋内には入れなかった。日中、人が常に横行している通りに面しており、あまり怪しい行動がとれない。窓から中を覗くと、ゴミ袋のようなものが散乱していた。裏手に行ってみると換気扇が回っていて腰が引けた。どうもそれは風のせいで、稼働していないと分かって胸を撫で下ろす。行き交う人にまじまじと見られ、こちらも視線を合わせて強気に出たが、長居は面倒なことになりそうで足早に退散した。ハーフパンツにサンダルという出で立ちが蚊の恰好の餌食となり、7ヶ所を食われた。