軽音楽部の女子高生3人が、文化祭でブルーハーツをコピーすることになったがボーカルが見つからず、韓国からの留学生に白羽の矢を立てる。日もわずかとなった舞台に向けて奮闘する彼女たちを描いた、シンプル極まりない映画である。笑いの散りばめ方はさすが山下敦弘だが、カウリスマキ然とした面影は少なく、本作は青春映画の様相が色濃い。
文化祭の前日からステージがある最終日までの4日間が綴られる。バンドのギター担当だった萌が骨折したことで、核だった恵と凛子が喧嘩をして、オリジナル曲ができなくなったことに激怒した凛子が脱退する。残されたベースの望とドラムの響子、キーボードだった恵がギターとなってバンドの存亡をかけた。恵の軽はずみな言動で留学生ソンにボーカルを懇願したが、彼女はブルーハーツに感銘を受けてそれを快諾、奮起する。
誰一人として悪人が登場せず、すがすがしい青さの一貫性がある。その中でソンがふと複雑な表情を見せる。ステージの前日、夜中に体育館に忍び込んだ彼女が壇に立ってはしゃぐ姿、それは留学生として学園生活で同級生と共有でき辛かったことが、やっと叶って嬉しさと安堵に変わったという表れだった。
25歳のペ・ドゥナは年齢を感じさせない。恵役の香椎由宇よりもよほど女子高生らしい。彼女たちが演奏するブルーハーツだけでなく、ジェームズ・イハが担当した音楽が随所で効果的だった。さらに萌役の湯川潮音のアカペラ、留年している中島を演じた山崎優子の引き語りも聞かせる。
ブルーハーツ世代ど真ん中の僕は早々に前売り券を購入していた。主な登場人物が高校生に限っている中で、軽音楽部の主任として甲本雅裕が出演していたことも琴線に触れる。あの兄弟は普段どんな仲なのだろうかと、関係ないことに思いを馳せた。