山の湯 山の湯 北沢4-3-13

外観はどっしりと構えた銭湯で歴史を感じさせるが、なかは意外と広くなくこじんまりとしていた。客足が途絶えず繁盛している。女湯と隔てたほうの壁側一列は、個別に仕切られたカランが並ぶ。これは珍しいとその1つを陣取った。しかし、これだと逆に落ち着かないと悟る。

湯船は3槽で、真ん中のジェットは寝そべられるようにかたどられていた。軽くぬるめが僕には程よい。30代男性が子供を二人連れてきた。まずは弟、次に姉をひざに抱えて全身を洗ってあげている。大きい風呂は誰でも楽しい。たまに甲高い奇声をあげても、暖かく見守る他の客。これが電車の中なら睨みつけるわけだが、僕もアルファ波を分泌中で全く気に障らない。

一旦湯船を出て歯を磨き、今度は右端の深い浴槽に入ろうと、口から歯磨き粉を垂らしながらそちらを見ると、いつまで経っても老人がそこから出ない。おかげで隅々まで歯ブラシが行き届いた。それでもまだその老人が出ることはなく、業を煮やして割り込んだ。

銭湯を出ると雨がぱらついている。向かいの雑貨店の軒先に雑誌を積んだ棚があった。そこには月曜発売の少年ジャンプが。学生の頃は早くに手に入れることがステータス・シンボルだったなと、そんなことを思い出しながら数年ぶりに買って帰った。