ウィスキー 南米の一国ウルグアイは映画製作が盛んでないようで、日本公開作品も本作が1本目となる。初物に手をつける。

ハコボが経営する小さな靴下工場にはハイミスのマルタの他2名が働いていた。ハコボはカフェで朝食をとってから工場に向かい、シャッターの前で待つマルタと挨拶を交わし、機械の電源と灯りをつける。マルタはハコボにお茶を入れ、他の従業員が出社する。終業するとマルタが従業員のカバンの中身をチェックして見送り、ハコボと二人でシャッターを閉める。ほぼ同じ構図、ほんの少しだけカメラをずらしてこの毎日を3日続けた。単調な毎日の表現としてだけでなく、これは最後の伏線にもなっていた。

またその3日間は、ハコボが訪れてくる弟エルマンに見栄を張るためマルタに妻を装うことを頼み、その準備をして、マルタを家に招待する日々だった。ハコボとエルマン、マルタの3人の偽家族生活が始まる。マルタの変貌ぶりに目を見張った。それはドラスティックではなく些細な変化で汲み取れる。写真を撮る際の「ウィスキー」での表情が柔らかくなる。

ユーモア溢れる作品ではあるが、伏線もあってかラストが物悲しい。無口で武骨で不器用な男は、饒舌で陽気で器用な男に破れたような。余韻と様々な解釈の選択肢を残した。ただ僕は辛く思えた。