交流戦カード1巡するまでは1勝2敗ペース。日本シリーズで戦って、ある程度知ってなおかつリベンジすべく西武戦のみ2勝1敗。そんな目論見を立てていた。それなら18戦7勝11敗で首位を維持できる。しかし昨日までで西武に2連敗。見事に期待を裏切られたが、今日こそは勝てるだろうと、インボイスドームに単身乗り込んだ。
西武池袋線乗車中にデジカメと選手名鑑を忘れたことに気づき、球場入りの前からテンションが下がった。さらにダフ屋でチケットを購入する予定が、警官が数名うろついて取締りをしている。正規で買うのもばからしいと思いつつチケット売り場の前に立っていると、人ごみの中にダフ屋然とした男性が何人か紛れていることが分かった。白いジャージの上下の50代らしき男が一人。こちらも向こうも顔色をうかがっている。どちらともなく近寄り「チケットないの?」と小声で話しかけてきた。「ない」「トイレ行って」「どこ?」「右」僕から向かって右手にトイレを見つけた。そこで一服しているとさっきの男が入ってきた。連れ小便のふりをする。「どっち?」「3塁側」まるで刑事ドラマである。チケットと紙幣を交換したとかしないとか。「俺いつもあの辺にいるからさ。次も声かけてよ」と彼は力なく笑う。この稼業も厳しそうだ。「ありがとう。お先です」と会釈して僕はトイレを後にした。内野指定席が格安である。1000円したとかしないとか。
中日の先発が落合英二、西武は大沼で幕を開けた。大沼は楽天・岩隈のようなピッチング・フォームだと初めて知った。落合は初回こそ良かったものの、2回以降は下位打線につかまる始末。ゲームを作れなかった。後を継いだ中田も結果は無失点だが、先頭打者を出す苦しい内容で厳しい。3番手投手の川岸だけが良かった。井端は今日が誕生日のようで打席に立った時に「Happy Birthday」が流れた。中日打線は打線がいまいち繋がらず、西武投手陣を打ち崩せない。去年の日本シリーズ対決とは思えない寒い試合だった。西武の守護神・豊田の“儀式”を生で見れたことが唯一の収穫。結局3タテを喰らう。
もう途中から諦めていた。1点差ゲームだが勝てる気がしなかった。後半から八重歯のかわいい売り子ばかり見る。彼女を狙い打ち、彼女からしかビールを買わない。酒の肴は八重歯とホットパンツ。ビールを飲む、寒くなる、汁物を食べる、味が濃くて喉が渇く、彼女が通る、ビールを頼む。「八重歯がかわいいね」と助平面で言うととびきりの笑顔を見せてくれた。次は名前を聞こうと企んでいたが、それを最後に姿を見なかった。得てしてこんなものである。