ひょんなことからチケットをもらった。ベルリン・フィルから連想するのはカラヤンくらいで、クラシックも無知に等しい。情報がほとんどない状態で見るのは数年ぶりだった。そういうシチュエーションもまた一考。

人とのアタッチメントを嫌う孤高の青年、学校をサボりがちの不良少女、祖国で両親が殺されて単身ドイツに来た黒人少年。多種多様の子供たちがベルリン・フィル・ハーモニー楽団の演奏下で踊る。ほとんどがダンス未経験者という中で大舞台に立つ。ベルリン・フィルの音楽を広めることも含めたこの教育プログラムを追ったドキュメンタリーが、子供の無限の可能性を訴える。劇中、振付師ロイストンとベルリン・フィルの指揮者ラトルが、自らの過去を顧みる。あえて成功者とするならば、彼らの強い意志と高い意識が痛い。ふざけて笑う、落ち着かない子供たちを憂う。愛情が真摯だ。最初は不真面目だった青少年も、次第に眼差しに変化を見せる。その成長と進化の早さが希望に満ちていた。