
寝台特急に乗り込んだ詐欺師チームの6人が、詐欺で稼いだ大金が紛失したことで虚々実々の駆け引きを織り成す。彼らの密室劇と思いきや、単なる群像ラブストーリーだった。嘘を商売にする彼らが信頼関係に固執する。長く組んできた者同士に新参者。付かず離れず一定距離を保ちながら、男4人女2人のチームは恋愛模様が絡んでくる。
途中途中で列車の走行シーンを挟む。ヘリで上空から全景だったり、小津的に車窓から疾走だったり、列車最前列から風景だったり。主に時間の経過を表すときに用いられ、ほぼ車内のみの舞台にメリハリをつけていた。狭い室内や通路で、彼らは否応なく向き合い、接する。車掌をやたら太った役者をキャスティングしていたのも、列車の狭さをクローズアップしたかったのだろう。それに伴って6人の人物描写が細かくなる。最終的には一番まともな人間の主張が通り、一人の「必要悪」を追い出すことで丸くおさめる。多数決が生み出す恐怖を感じた。