三軒茶屋で[ウチシバクン]と飲食。その後、何か遊ぼうということで、以前見つけた釣堀へ行く。黒沢清監督作「ニンゲン合格」に出てくるような屋内の釣堀は初めてだった。小ぢんまりとして妙に和む。周りは皆、馴染みの客らしく和気あいあいと喋りながらすいすいと釣り上げていた。僕ら二人は見よう見まねで何とか坊主は免れた。餌をつける、糸を垂らす、釣った魚を網に入れる、という一連の動作が全ておぼつかない。それでもその空間は居心地の良いものだった。古びて趣深い店構え。内装、椅子、ハンガーは手作り感が漂う。堀に流れる水の音。たまに魚が跳ねて水しぶきをあげる。小さな竿が哀愁。年末に男たちが囲む堀が哀愁。

店主に「どっちが勝ったんだい?」と尋ねられたが、目標は二人合わせて10匹。[ウチシバクン]には競争原理がない。聞かれてはたと気づいた。普通は競い合うものか。壁に並んだ竿の間にはランキングが貼られている。