サマンサ・モートンに欲情した。彼女が一人、画面に大きく映し出されるシーンが多いが、それに耐えうる表現力・佇まいを用いている女優は多くない。白いもち肌と丸いおでこ。必要以上にエロスを感じた。彼女が演じるマリアは上海に住む、マイケル・ウィンターボトム監督言うところの「社会のルールに逆らって生きようとし、好きなことをすべきだと信じる犯罪者」である。マリアから発せられる言葉は英語、スペイン語、中国語などいろいろと混じっている。アジアの途上国に訪れると、近代的な高層ビル群のすぐそこに混沌としたスラムやダウンタウンが広がる。ウィンターボトムもそこを訪れてカオスを感じとったのだと推測する。ロケーションも西洋の近代都市、イスラムの町並み、アジア圏の街も出てきた。多人種、多言語が入り乱れる近未来カオス。時代が進むにつれてますますボーダレスは進む。

久しぶりにサウンドトラックが欲しくなる映画だった。ウィンターボトム作品は音楽と映像が切っても切れない繋がりがあるようだ。クラブで「Should I Stay Or Should I Go?」を歌っている男はクラッシュのミック・ジョーンズというから人脈はさすが。よく流れていたノーマン・クックによるユニットの「song #6」が劇場帰りの自転車でループする。コールド・プレイの曲も印象的だ。グウィネス・パルトロウの旦那は声がボノに似ている。気がする。のは気のせい?