オオタニサンが止まらない。


シーズン途中からドジャースの1番打者を務める大谷翔平は43本で本塁打王である(24/8/31)。アレックス・ロドリゲスでも為し得なかった43本塁打と43盗塁を達成し、8月にして唯一無二のMLBプレイヤーとなってしまった。


また、彼がよくホームを踏んでいる印象を受け、シーズン得点数ランキングを確認したところ、106得点とこれもリーグトップである。

 

そこで私は考えた。近年で最高の1番打者は誰かと。思いつく選手を何人か挙げ、おまけに安打数、打率、本塁打数、打点、OPSも併記してみた。

 

松井稼頭央2002 (OPS1.006) 西武

119得点 193安打 打率.332 36本 87打点

 

青木宣親2007 (OPS.942) ヤクルト

114得点 193安打 打率.346 20本 58打点

 

西岡剛2010 (OPS.905) ロッテ

121得点 210安打 打率.346 11本 59打点

 

秋山翔吾2018 (OPS.937) 西武

107得点 195安打 打率.323 24本 82打点

 

青木宣親と秋山翔吾に関しては、200安打を達成していない年にキャリア最高得点数を叩き出しており興味深い。これは得点数が安打と相関関係に無く、後続の打者の成績に依存している点を示している。

 

何せ2004年にMLBシーズン最多262安打をマークしたイチローの得点数はまさかの101。強力打線を擁さないと伸びない記録なのである。そのイチローがMLBで一番得点を挙げた年は新人王イヤーである。

 

イチロー2001 (OPS.838) SEA

127得点 242安打 打率.350 7本 69打点

(首位打者、最多盗塁(56)、シーズンMVPなど)

 

この年のマリナーズはシーズン116勝するくらい強かった。オオタニさんが今後超えるかもしれないが、最強の1番打者は今のところイチローでかもしれない。NPBに限ると、OPSでは松井稼頭央、100得点の達成回数では4回(2015,'17~'19)の秋山翔吾でよいのではないか。青木宣親も2005~2007に3年連続100得点を記録するなど優秀な打者であったと言える。西岡剛はシーズンの得点記録として素晴らしい。

 

 

おまけ①大谷翔平(24/8/31) OPS.990 LAA

106得点 154安打 打率.294 43本 96打点 

赤星式盗塁:35、片岡式本塁打:86

 

おまけ②イチロー1994 (OPS.994) オリックス

111得点 210安打 打率.385 13本 54打点 

 

 

おまけ③ 得点数から紐解く最強打者論

セイバーメトリクスいわく、1番・2番・4番に強力な打者を配置すると得点力が増すらしい。また、日米では昔から強力な打者が3番にも配置されてきた。つまり、シーズン得点数記録の保持者は1~4番に多いのではないか、と、私は仮定した。

 

まずはシーズン最多得点記録保持者から年を追って100得点以上をマークした印象的な打者に触れていく。

 

小鶴誠1950 松竹

143得点 183安打 打率.355 51本 161打点

歴代最強打者候補の1人。勿論シーズン打点も未だに破られていない。ちなみにこの成績で三冠王でなかったのは藤村富美男の打率.362が要因。後に広島に移籍し、はだしのゲンでも歓迎を受ける。

 

藤村富美男1950 大阪タイガース

130得点 191安打 打率.362 39本 146打点

戦地で死線を潜り抜けたタイガース史上最強の選手。イチローが210安打を記録するまで長年最多安打記録は破られなかった。

 

岩本義行1950 松竹

121得点 176安打 打率.319 39本 127打点

初のトリプルスリー達成者とされる。2リーグ制初の優勝に貢献。

 

野村克也1963 南海

104得点 160安打 打率.291 52本 

野球の功労者。彼のパリーグ本塁打記録はローズが55本を記録するまで長年更新されなかった。月見草なんてとんでもない。

 

王貞治1977 巨人

114得点 140安打 打率.324 50本 124打点

説明不要の世界のOH。三冠王を達成したシーズンでも、シーズン55本を放った年でもなく、得点数・打点数ともにこの年がキャリアハイ。

 

山本浩二1978 広島

114得点 153安打 打率.323 44本 112打点

ミスター赤ヘル。広島の英雄すぎてそれ以上の言葉が野暮かもしれない。

 

福本豊1980 (OPS.923) 阪急

112得点 166安打 打率.321 21本 58打点

世界の盗塁王の盗塁のコツはまず塁に出る事。走塁指導時には盗塁のコツよりも先に打撃を教え始めてしまう。

 

落合博満1985 (OPS1.233) ロッテ

118得点 169安打 打率.367 52本 146打点

唯一の三冠王を3度経験している、神主どころか打撃の神様そのもの。打率、本塁打数、打点全てがハイレベルのシーズン。

 

松井秀喜2000 (OPS1.092) 巨人

116得点 150安打 打率.316 42本 108打点

甲子園からワールドシリーズまで話題を集めた最強打者。ミレニアム打線の中心。

(松井秀喜2004 OPS.912 NYY

109得点 174安打 打率.298 31本 108打点)

 

小笠原道大2000 (OPS.958) 日本ハム

126得点 182安打 打率.329 31本 102打点

元祖2番最強打者。球界にビッグバンを起こした北に行く前のサムライ。OPSや打率基準なら2003年がベストだが今回は得点数重視。

 

中村紀洋2001 (OPS1.064) 近鉄

109得点 168安打 打率.320 46本 132打点

T・ローズ2001 (OPS1.083) 近鉄

137得点 180安打 打率.327 55本 131打点

いてまえ打線を形成。お互いに記録を抜き合っている怪物たち。

 

A・カブレラ2002 (OPS1.223) 西武

105得点 150安打 打率.336 55本 115打点

前年のローズ同様王さんの記録に迫った。並ぶ前後から露骨に敬遠が増え可哀想。

 

A・ラミレス2003 (OPS.989) ヤクルト

105得点 189安打 打率.333 40本 124打点

史上最高助っ人候補。シーズン200安打を達成した年や巨人の4番をしていた年以外にもこんなに素晴らしい成績を残していたようだ。

 

井口資仁2003 (OPS1.011) ダイエー

112得点 175安打 打率.340 27本 109打点

ダイハード打線。松中99得点、城島101得点。

松中信彦2004 (OPS1.179) ダイエー

118得点 171安打 打率.358 44本 120打点

平成唯一の三冠王。広い福岡でこの成績…!

 

赤星憲広2005 (OPS.768) 阪神

119得点 190安打 打率.316 1本 38打点

金本知憲2005 (OPS1.044) 阪神

120得点 183安打 打率.327 40本 125打点

今岡誠の147打点の遠因。負ける気せえへん。

 

福留孝介2006 (OPS1.091) 中日

117得点 174安打 打率.351 31本 104打点

ボールが飛びすぎて化け物が2000年から例年続出している気が。単年ならPL最高傑作。

 

M・マートン2010 (OPS.894) 阪神

106得点 214安打 打率.349 17本 91打点

イチローのシーズン安打記録を更新し、今なおセリーグ記録である。平野恵一.350、鳥谷敬98得点、ブラゼル47本のヤバい打線を構成。この年はマートン、西岡剛、青木宣親、MLBのイチローと4人が200安打を達成。

 

坂本勇人2010 (OPS.836) 巨人

107得点 171安打 打率.281 31本 85打点

史上最強ショート候補。才能に溢れているにも関わず、打撃・守備の弱点を克服しようと、先輩・同期・後輩問わずに教えを乞う姿が素敵。

 

柳田悠岐2015 (OPS1.100) ソフトバンク

110得点 182安打 打率.363 34本 99打点

その日人類は思い出した。トリプルスリーという死語を。OPS芸人。

 

山田哲人2018 (OPS1.014) ヤクルト

130得点 165安打 打率.315 34本 89打点

初のトリプルスリーを達成した年がキャリアハイと言えそうだが、3度目のトリプルスリーを達成したこの年の成績も異次元である。

 

山川穂高2018 (OPS.986) 西武

115得点 152安打 打率.281 47本 124打点

秋山翔吾、浅村栄斗らと共にシーズン100得点を達成。(2番源田壮亮も92得点で惜しい)

 

丸佳浩2018 (OPS1.095) 広島

109得点 132安打 打率.306 39本 97打点

ちなみに2017年も丸は109得点で、田中広輔も105得点。四球の多さが特徴。

 

鈴木誠也2019 (OPS.986) 広島

112得点 167安打 打率.335 28本 87打点

OPSでいえばもっと適した年があるのだが得点数ではこの年が断トツ。

 

村上宗隆2022 (OPS1.168) ヤクルト

114得点 155安打 打率.318 56本 134打点

令和の三冠王。王さんのシーズン記録も超える。五輪とWBCの決勝でHRを放った男。

 

 

やや暴論でもあるが、得点数は出塁して足でひっかきまわすタイプも、スラッガーもある程度評価できる指標である可能性がある。大谷翔平、イチロー、松井秀喜を共に評価できるなんてすばらしい指標ではないか。


また、歴代の最強打線も紐解ける。近年では近鉄いてまえ打線、ダイエーダイハード打線、阪神岡田打線、西武山賊打線、広島緒方打線は驚異的であった。

 

昨年からNPBでは打低が叫ばれるが、シーズン100得点者が今後現れるのか。また、大谷翔平はどこまで記録を伸ばすのか。目が離せない。