加藤純一。人気ゲーム実況者であり、元バルセロナのピケの友達であり、上野恩賜公園のグラウンドで左右両打席でフェンス越えを放つなど、様々なフィールドで活躍する男である。
そんな加藤純一の人気コンテンツの1つが「イナズマイレブン実況」である。彼はイナズマイレブン世代ではない。ストーリーや操作に慣れていないからこそ、毎回新鮮な反応を見せてくれる。かつて覇権をとった作品であるため、世代である視聴者はストーリーやゲームの内容に懐かしさを覚える。初代シリーズの配信は600万回再生を越え、初代の最終回の配信は同時接続15万人越えを達成するなど、数多くの視聴者を沼に引き摺り込んでいる。
以下ネタバレ注意。
加藤純一のイナイレ実況に沼る理由
①常識にとらわれない選手起用
主人公は雷門中キャプテンで正GKの円堂守である。常識で考えれば彼を起用するが、加藤はそこら辺で仲間にしたモブキャラ雷電真太郎を抜擢。最初は皆に笑われるレベルのプレイヤーだったが猛特訓を重ね、決勝では雷門の大ピンチを片腕一本で防ぎ伝説となった。15万人が歴史の証人となった。ちなみにサッカーの国際試合が行われる国立競技場の最多動員数が65,188人なので、その凄さをおわかりいただけただろうか。
そんなスポ根要素が溢れる展開も見どころの一つである。この活躍が認められ、のちに雷電は日本代表に選出された。世界大会でも大暴れするので自分の目で見てくれよな。
②サブキャラへの愛着
染岡竜吾という不憫なキャラクターが居る。転校生の豪炎寺修也にエースストライカーの座を奪われ、豪炎寺離脱後は、チーム事情で補強した吹雪士郎にもその座を追われる。はじめは彼らに反発しながらも、次第に彼らを尊重するようになり、自らも猛特訓を重ねて強力な必殺技を身に着けて成長していく。そんな彼を加藤は「ソメ」と呼んで温かく見守っていた。そんな矢先、染岡は相手から受けた卑劣なプレーの影響で大怪我を負い、志半ばで無念の離脱をすることになる。
染岡は闇落ちし、後に敵として雷門に立ちはだかる。雷門の守護神雷電からゴールをこじ開ける染岡。悪役としての才能を開花させた染岡を修正したのもまたそこら辺のモブキャラ町田禄郎である。奇しくも染岡と同じ「ドラゴン」を冠する技で相手を粉砕、救世主となった。雷電と町田の魂のプレーにより雷門は勝利を収め、染岡たちは改心することとなる。
③常識にとらわれない戦術
常識的に考えると、多くプレーヤーは、往年のバルセロナの如くティキタカで相手に触れさせずにパスを回し、ゴールを狙う。あるいはドリブルで運び相手を上手くかわしながら進むのが定石である。
加藤は違う。イナズマイレブン2から取り入れられた要素であるロングシュートを多用する。ボールを持ったらロングシュート。展開がハマればそのままゴールを奪うこともできるし、何よりも相手のTP(必殺技に必要なポイント)を削ることができる。ボールを安全に前に運ぶ方法でもあるので、ラグビーのキッキングによる陣地挽回や、J1首位(24/8/27現在)のFC町田ゼルビアのロングボール戦術に通ずるものがある。この戦術がハマり、地球を侵略しに来た宇宙人チームに止めを刺した。
続いてイナイレGO2自体のオススメポイントをいくつか挙げていく。
イナイレGO2のここが面白い
①アツいストーリー展開
今度のイナズマイレブンは時空を超える。主人公松風天馬からサッカーを奪おうとする、200年後の未来からやってきた某組織。それを阻止するべく、時空を超えて歴史上の人物から知恵とパワーを授かり、時空最強イレブンを目指す物語である。天馬を支援するのもまた200年後の未来から来た少年、フェイ・ルーンである。中性的でずんだもんのような見た目をしている。
戦国時代、幕末、三国志からジャンヌ・ダルクまで様々な歴史を辿れるSF小説っぷりも魅力の1つ。覇権をとったイナズマイレブン2も日本全国を周り、地上最強イレブンを目指した。終盤に予想を裏切る展開もある。その共通点もファンから熱い支持を得ている。
時空を超えるまでに、歴代のイナズマイレブンの名場面を一部なぞるシーンがあり、そこで過去のプレーヤーも釘付けにされるだろう。加藤純一も今までプレイしてきた展開を思い出し感銘を受ける展開である。加藤純一と一緒にストーリーを推理するのもまた一興である。
②強力な女性キャラ
菜花黄名子。担当声優はまどマギ、ポケモン等で活躍した悠木碧。攻守に強力な技を覚え、衝撃の結末の鍵となるキャラクターである。
イナズマイレブンシリーズはトーナメント戦が多く、女性キャラを使う機会が限られている点がむさ苦しいが、今回はイナイレ2同様にトーナメント戦ではないので敵味方に強力な女性キャラが登場する。イナイレ2では財前塔子、ウルビダが活躍したが、GO2ではどんなキャラが登場するのだろうか。その目で確かめてみてくれよな。
③必殺技のネーミングと凝ったBGM
必殺技のネーミングが面白い。ある時代では、火縄バレット、一夜城、オケハザマウォールといった技が登場する。またある時代では菊一文字、クロシオライドという技も。おっと、これ以上は歴史ヲタクなら登場人物の想像がついてしまうのでやめておこう。
各場面を盛り上げるBGMも要注目である。元々帝国学園、世宇子中、ジェネシスとBGMに定評のあるイナズマイレブンであるが、更にBGMに深みが増しパワーアップしている。実はイナズマイレブンにはゲームBGMだけを聴けるモードが搭載されている。BGMを聴きながら勉強していた思い出もある。GO2に登場するBGMで1番オススメなのが千宮司の力。冷静に、しかし確実に闘志を掻き立てられる絶妙なメロディ。加藤純一も謎の歌詞をつけるなどお気に入りである。あとは邪悪なる明晰もグッド。
④やり込み要素が豊富
歴代のゲームは、ストーリーこそ人気を博していたものの、ストーリークリア後のレベルアップに手間がかかったり、クリア後の対戦相手の種類が少ない、能力パラメータの数値調整など、完成度に課題があった。
しかし、そういった問題をGO2は解決した。GO2では技を6つも書き換えられる。イナイレ2では2つしか変更できなかったので、大きな進歩である。また、化身/アームド/ミキシマックスといった選手を強化する要素が今作の特徴だが、クリア後にアイテムを集めることで、どんなキャラでもオーラを纏えるようになった。
例えば、理論上の最強キーパーは人造人間チームのセイ・サーポという控え選手。MF登録の彼のパラメーターを弄りコンバートをすると、時空最強のGKと化す。どんなキャラでも育成次第で活躍する。このあたりも加藤純一がモブキャラを輝かせた構図と通ずるものがある。
裏を返せば、クリアまでしかプレイしない加藤純一がモブキャラを抜擢する機会は、今回の実況では無いかもしれないが、どの主要キャラに愛情を注ぐのかという楽しみは残る。
GO2はイナズマイレブンが流行してから数年経ち、人気が下火になった頃の作品で、ストーリーが有名であるとは言えない。加藤純一の人気を介して少しでも多くの方々にこの作品の奥深さを知ってもらえると嬉しい。また、豊富な経験を持つ加藤純一の衝撃のエピソードトークにも注目だ。