投手をどのように評価するか。
切り口は様々であるが、全盛期を迎えている投手であれば防御率で評価されることが多い。9イニングスあたりどれだけ点を取られないかというシンプルながら信頼の置ける指標だ。しかし、積み上げることのできる記録ではないので、通算で見るにはかなりシビアな指標といえる。イチローも打率よりも安打と言う積み上げる記録が好きだったようだ。
そこで「投球回」「奪三振」をターゲットにして、通算2000投球回かつ通算2000奪三振を達成している現役投手は果たして誰なのか調査してみた。なんとなく達成者が少なさそうで、効率よくレジェンド投手をピックアップできるのではないだろうか。
現役の達成者は以下5人である。
前田健太(Detroit Tigers)
スライダー/チェンジアップ
田中将大(東北楽天)
スライダー/スプリット
涌井秀章(中日)
スライダー/フォーク
岸孝之(東北楽天)
カーブ(スライダー)/チェンジアップ
ダルビッシュ有(San Diego Padres)
スライダー/シンカー
ダルビッシュ有に至っては日米通算3000投球回かつ3000奪三振も達成している。日米通算でこれを達成しているのは野茂英雄だけで、NPBでも金田正一、米田哲也、小山正明、鈴木啓示しか達成していない偉大な記録である。ダルビッシュ有は野茂英雄ですら為し得なかったMLB通算2000奪三振も視野に入る。
他にも日米通算で2000投球回・2000奪三振を達成したのは、石井一久、松坂大輔、黒田博樹である。和田毅(ソフトバンク)は2024/8/15現在であと29、上原浩治は惜しくもあと28個奪三振が足りなかった。
他に現役投手で達成しそうな投手はいるのだろうか。
近年のエース級投手だと則本昂大(東北楽天)が達成できそうなペースであったが抑えに転向してしまい、雲行きが変わってきた。菅野智之(讀賣巨人軍)は今季復活したが奪三振があと500弱ある。菊池雄星(Houston Astros)は達成しそうなペースである。
そのほか主な"2000-2000"達成投手
工藤公康、山本昌、石井一久、西口文也(埼玉西武2軍監督)、三浦大輔(横浜DeNA監督)、杉内俊哉(讀賣巨人軍コーチ)など
こうしてピックアップしてみると、パリーグやMLBを経た投手の達成が目立つ。これはパリーグやMLBではDH制があり代打を出されることがないからなのか、MLBが試合数が多いためなのか。ただ、野茂英雄、石井一久、黒田博樹、前田健太が所属していた頃のLos Angels Dodgersはまだ指名打者という概念が無かったので仮説にすぎない。
日米で投手分業制が確立され、打者に左右される要素があるため達成が程遠い「通算200勝」。今年ダルビッシュ有がなんとか達成したこの記録では、現代のレジェンド投手の素晴らしさを説明することができない。なにせ松坂大輔・田中将大(あと3)が届いていない記録で、黒田博樹がギリギリ達成した記録である。今回、通算勝利数ではない形で功労者を浮かび上がらせることができた非常に有意義な機会となった。今後とも新たな切り口で選手を評価してみたい。
おまけ
そのほか主な通算3000投球回達成者
工藤公康・山本昌・黒田博樹・三浦大輔・石川雅規(東京ヤクルト)など