皆様、パリ五輪を楽しんでいるだろうか。
私は今、24年前の夏季五輪の開催地シドニーでワーホリビザで滞在中の無職である。お金が不足しているがゆえに、五輪はサブスクでしか見られないのではと思い込み、視聴をあきらめていた。しかし意を決して独占放送のnet放送局に登録すると、なんと無料で競技を視聴できた。英語の説明の読み込みが甘かった...
シドニー五輪とアテネ五輪は記憶にない。「田村でも金、谷でも金」のYAWARAさん、高橋尚子さんと野口みずきさんといったレジェンドのお話は存じ上げておりますが、物心つく前で直接の記憶はない。五輪最古の記憶は冬季トリノの荒川静香選手であろう。
ということで2008北京五輪以降で、各大会の象徴的だったシーンを振り返っていこうと思う。
2008 BEIJING ソフトボール日本代表
私がソフトボールを始めるきっかけになるくらい格好良かった。豪速球を投じる上野由岐子投手と仮設フェンスを越えスタンドにぶち込むブストス選手のコントラストも良かった。上野投手と「女イチロー」山田恵里選手はその後バラエティでも見かけるように。プロ野球選手との対決はオフシーズンの楽しみの一つだった。
その後TOKYO大会で限定復活したソフトボール競技。BEIJING大会以降日本が強さを保ち続け、再び金メダルを獲得したというストーリーラインがまたアツい。BEIJING大会に出場した米国のアボット投手はその後日本でプレーし、TOKYO大会で再び日本に立ちはだかった。しかし、同じトヨタの左腕後藤希友投手の活躍もあり日本の牙城を崩せなかった。個人的にはショートの渥美万奈選手の華麗な守備に感動した。
2012 LONDON 内村航平 男子個人総合
時差はあったが眠い目をこすって観た最初の五輪かもしれない。鉄棒・跳馬・ゆかを中心とした内村航平選手の華麗な演技に心を奪われた。コールマンやカッシーナなど技名が格好良かった。当時所持しているカメラが無かったので3DS内蔵カメラで必死に撮っていた記憶がある。余談だが3DSが先にバッテリーが膨らんで使用を断念した。DS Liteの方が古いのに保つねんな。
他にも卓球女子団体は見応え抜群であった。石川佳純を観て卓球に興味を持ち、その後年初の全日本卓球選手権を観るのが私の恒例行事になった。福原愛と石川佳純の時代や、伊藤美誠、平野美宇、早田ひなの鎬の削り合いは見応えがあった。2年後に高校で卓球を始めることになるが五輪の影響は確実に受けている。
2016 RIO バドミントン女子ダブルス タカマツペア
語るほど知識はないものの、純粋に感動した。「2セット先取の競技は第1セットの結果うんぬんよりも第2セットを取ったチームが勝利に直結するのでは?」とバド競技を見ていて気付いた。連取すれば勝ちだし、1セットが長い分、第2セット終了時には精神も体力もかなり消耗され、第3セットへの影響が大きくなっているのでは、という私の思い込みである。体育の授業でやった限りでは、ヘアピンは楽しいけどスマッシュが難しすぎるという感想である。卓球をプレイしていた時はストップやフリックなど盤上のプレイにハマっていたためその延長線上でヘアピンを楽しむことができた。
母国開催を控え、各競技に資金がつぎ込まれている最中であったからだろうか、メダル数がロンドン大会よりも大幅に増えた。カヌースラロームの羽根田卓也選手や卓球男子の水谷隼選手といった競技の日本のレジェンドがメダルを獲得し、注目度が一気に高まったという意味でも価値のある五輪であった。
2021 TOKYO 卓球混合ダブルス 水谷隼 伊藤美誠
母国開催。圧倒的な量のメダルを取った。柔道大野将平選手の連覇、阿部一二三選手の後の連覇に繋がる金、侍ジャパン(WBCでもそうだが村上宗隆選手は米国との決勝でHR打つねんな)、バスケ女子、ケイリンの梶原悠未選手、ゴルフの稲見萌寧選手らの銀、バド混合ワタガシペアの銅...挙げればきりがない。
それでもやはり一番感動したのは混合ダブルスであろう。スマッシュ(通称みまパンチ)やチキータ等、王者中国の男子選手を困らせるほどのテクニックを伊藤美誠選手が見せたかと思えば、水谷隼選手が難しい体制を強いられても盤上に鋭い打球を打ち込む。磐田の近所のお兄ちゃんと女の子という関係性のペアが卓球の歴史に残る大偉業を成し遂げた。
余談だが日本卓球協会はメディアを巻き込むのがかなり得意と見える。古くは福原愛から、張本美和まで幼い頃から密着取材を受けている選手がかなり多い。テレ東やとんねるずをうまく巻き込み、水谷隼がTV共演者にラケットを配っているので、人々に忘れられることがほとんどない。やり手である。
2024 PARIS スケートボード 男子ストリート 堀米雄斗
TOKYO大会から正式種目となったスケボー。ストリートスタイルの延長線上にあり、競技に国境がなく、素晴らしいトリックが決まったら他の選手が素直に称賛する、選手が競技後に皆でセルフィーを撮る、などリラックスしていて素敵な競技性が話題を呼んだ。実況の倉田大誠アナの「13歳真夏の大冒険」というフレーズ(西矢椛選手)も話題を集めた。
しかし、前回大会でスケボーの「顔」になってしまった堀米雄斗選手は常に結果を求められる存在になってしまい、心の底から競技を楽しむ余裕がなくなってしまったように見受けられる。それでも最終演技で最高のトリックを見せ大逆転の金メダル。着地を決めた後の咆哮が、彼の抱えてきた全ての重圧を物語っている。着地を決め、叫び、イヤホンを外し、ボードが宙を舞う。映像美の極致を見せたTOKYO王者が意地を見せた。
他にもフェンシング勢が発祥の国フランスを抑えてメダルを連発するなど見どころ満載のパリ五輪。各競技が誤審に見えるのもナショナリズムが高揚したが故かもしれない。(本当に誤審かもしれないが)普段プロの競技を見慣れている方からしたら審判の技量に疑問を持つことはあると思うが、あくまでアマチュアの祭典なので、素人観戦者がSNSでギャアギャア言うのは精神上宜しくなさそうだ。(話は逸れるが、甲子園大会の審判はボランティアなので晒上げるのはやめてくれ)それでも今の日本にとっては貴重な、ナショナリズムが高揚する機会。ほどほどに楽しみましょうや。
良くない愚痴の例:
①ルーレットよりも阿部一二三選手の相手に指導3枚入らなかったのが一番意味わからん。その前にフェンシングのエペ団体Semi-Finalの勝利で高揚していたから余計ゴキゲン斜めな就寝でした。
②いろんな意味で汚い。せめてセーヌ川くらいは綺麗にして?
③パリコレだかポリコレだか知らんが選手ファーストでやって?
全部私の感想でした。