皆さんは夏の甲子園と聞くと何を思い浮かべるだろうか。
直近でいえば慶應の快進撃も記憶に新しく、星稜の奥川恭伸の完成度は史上最高と言っても過言ではなかった。金足農業フィーバーを含め数多くの印象的な試合がある。
かくいう私も松坂大輔擁する横浜高校が一世を風靡した年に生まれている。記憶上では初めて観た甲子園は斎藤佑樹の早稲田実業と田中将大の駒大苫小牧の決勝2戦だと思う。斎藤佑樹が真っすぐで田中将大から空振りを取って優勝を決めるシーンをよく覚えている方も多くいるはずだ。
それ以降も、興南や大阪桐蔭といった春夏連覇した高校はもちろん、日大三や前橋育英など自分にゆかりのある地域のチームが優勝した時の印象も残っている。ツウな野球ファンであれば吉永健太郎のシンカーや2年生高橋光成の好投を覚えているかもしれない。TVでは試合をたくさん見すぎたため、どの試合が良かったと細かく思い出すことは不可能に近い。
そんな私が一番印象に残っているのは2022年大会、優勝旗が白河関を越えた大会である。実は仙台育英、決勝の対戦相手下関国際、更には高松商業、とその大会を盛り上げるチームが一堂に会した日に、甲子園まで直接観に行っているからだ。TVでは百回くらいみたかもしれないが一回の現地観戦には敵うものはない。
仙台育英は140キロを超える投手を複数擁し、継投で繋ぐレベルの高いチームであった。下関国際は途中でリリーフをするショートの仲井慎(現:駒大)が信じられないキレの高速スライダーを投げていた。(今年豪州に行く前にノリでたまたま見た東都の試合で久々に見れた)。敗れはしたが富島の日高暖己(現:広島)は山本由伸のような投法でノビしろを感じる投球をしていた。実は前日に山本由伸の登板試合を京セラDの3塁側で見ているので私の目に間違いはない。
一番印象深いのは大会No.1スラッガー、高松商業の浅野翔吾。決して上背に恵まれているタイプではないが、打球をピンポン玉のように弾き返せる才能の持ち主である。出張指導を行ったイチローが才能に惚れこんでいたこともあり、元々の期待値は凄く高かった。
そんな浅野翔吾が私の目の前で2本もHRを打ったのである。その後も近江の山田陽翔(現:西武)からHRを打つなど活躍を重ね、巨人に鳴り物入りで入団した。甲子園で深い右中間に放り込んだ時は唖然としたが、その後も目の前でレフトスタンド、近江戦で好投手からバックスクリーン、とHRを打ち分けてしまった。
TVで観た印象深いチームはやはり金足農業かもしれない。その大会の最高投手は、下馬評の時点で吉田輝星であったため、初期の段階から注目していた。横浜戦の劇的な逆転3ランや近江戦の2ランスクイズなど、勝ち方も派手で印象に残りやすかった。今年、秋田代表として金足農業が出場する。吉田輝星の弟大輝が2年生エースとして、横浜戦HRの髙橋佑輔の弟佳佑が主将として聖地にやってくる。斎藤佑樹も来る(宮城・聖和学園)。早稲田実業も久しぶりに帰ってくる。
胎教で観た最強横浜高校、初めて野球に興味を持った早実苫小牧の再試合、野球部で知った地元日大三の優勝、福岡で観たゆかりのある群馬県勢の優勝、サークル合宿中に観た履正社の優勝。祖父母の家や旅行の出発前の空港など、いつどこにいても夏の甲子園は私の身近にあった。もし可能であれば、甲子園大会を遠い豪州の地から少しでも観戦できれば嬉しい。夏の予選はバーチャル高校野球を通じて観れたので、ABCテレビさんお願いします。
私の注目は石橋・入江祥太。昨年のセンバツにも21世紀枠で出場しており、聖地に帰り咲いた。ショートからマウンドに立つ姿は高校野球ならではの光景。やはり明豊今宮健太、下関国際仲井慎、今大会には惜しくも出られなかったが横浜池田聖摩など、野球センスが溢れすぎてショートからリリーフしてしまう選手は絵になる。その他にも高校進学時のエピソードから、昨年の慶應優勝メンバーとの縁まで、話題性に溢れている入江祥太から目が離せない。

