芥川也寸志著『音楽の基礎』(岩波新書)から
(注:本書を読みながらの勉強メモです。本書と関係ない内容も含まれる場合があります。)
3. 音階
音階は、ある民族、あるいは地域固有の音楽から、高さの異なる音を抽出し、音高順に配列することによって、その音楽の構成音を表すもの
(1) 古代ギリシャ時代
・7つの実用的な音階(ドリア旋法など)
・下行形:7個の音(E D C B A G F E)
・ドリア旋法
EDCB(全全半) AGFE(全全半)
二つのテトラコードが連結されている
・全半全がフリギア旋法
・半全全がリディア旋法
・この音階形成の原理が今日のヨーロッパの音楽の土台
(2) 中世の教会音楽
・8種類の音階(教会旋法)
・典礼聖歌に貢献したグレゴリウス一世にちなみ、グレゴリオ旋法と呼ばれる
・それぞれ四つの正格旋法と変格旋法
・第1旋法(正格ドリア、変格ヒポドリア)
・第2旋法(正格フリギア、変格ヒポフリギア)
・第3旋法(正格リディア、変格ヒポリディア)
・第4旋法(正格ミクソリディア、変格ミクソヒポリディア)
・聖歌が朗誦風に歌われた場合、ときに非常に反復して長くとどまるため反復音または副終止音や属音(ドミナント)と呼ばれる重要な音があり、音階の開始音や終止音(主音)よりも旋法を特徴づける
・変格旋法では、正格旋法のドミナントが開始音および終止音になり、正格旋法の主音が音階の真ん中となる(変格旋法におけるドミナントもある)
(3) 16世紀
・グラレアヌス(スイス音楽理論家)著書「ドデカコルドン(1549年)」でさらに4種類の旋法を加える必要性を説く
・その成果が今日のヨーロッパ音楽の主流へとつながる
・エオリア→現在の短音階(A B C D E F G)
・イオニア→現在の長音階(C D E F G A B)
・旋律的音楽から和声的音楽へ(線から面へ)、それに最も適した旋法であった
(4) 全音階と半音階
・C音を基点とする長音階から、基点をずらした12種類の同形の高さの異なる長音階ができ、短音階も同様、合計24種類あることから、バッハの「平均率ピアノ曲集」、ショパンの「前奏曲集」、ドビッシーの「前奏曲集」、ショスタコーヴィッチの「前奏曲とフーガ」などが、すべて24曲で構成されているのは、この原理に基づく
・短音階(Minor scale)が長音階(Major scale)と決定的に違うのは、基音と第3音の距離がせまいことであり(長音階が長三度、短音階が短三度)、これが命名の由来となる
・短音階は、第6音と第7音にシャープが付けられることが多く、旋律的短音階(下行の際は、ナチュラルとなる)(メロディックマイナースケール)、第7音のみシャープが付くのが和声短音階(ハーモニックマイナースケール)、どちらも変化しない場合の自然短音階(ナチュラルマイナースケール)と区別される
・長音階、短音階は全音を基礎としたもので一括して全音階と呼ばれる
・基音をずらしてできる12音からなる音階を半音階
・ドイツ古典派、ロマン派の音楽は以上の音階を基礎とする
・ロマン派以前は半音階上の音は全音階から生じた派生音、装飾的あるいは経過的なものが、ロマン派に入り、独立した性格があたえられた
・全音階における基音は曲中の大黒柱からただの支柱へと変化
(5) ロマン派後期から現代音楽
・ドビッシーが半音をとり去った全音音階を創案(C D E F# G# A# C)
・それまで基音の存在(調性)は半音の位置によって、分かるものであったが、全音音階では半音がないため、基音(中心)がわからない漠とした音感が、ドビッシーの印象主義的な表現に適合した
・後期ロマン派に至るドイツ音楽の基本的な構成要素である長・短三度の和声体系を突き崩した点で、意味は極めて大きく、現代音楽の始まりと考えるのは妥当である
・第二次世界大戦後、全音階の基音は完全にとりはらわれ、オクターブを12等分したそれぞれが同等の価値を持つ12個の独立した音列としてみなされた
・12音の音列技法、アーノルドシェーンベルク
(6) 諸民族の音階(日本)
・5音からなる5音音階(Pentatonic scale)
・オリエンタル音階=ジプシー音階(オクターブ内に4つの半音程がふくまれる)
音階の項はもう少し・・次は理解が難しいピッチの話