またまた観てきました、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY スペシャルエディション完結編 自由の代償 HDリマスター』!!

いやー、ほんとは公開開始日(17日(金))に行きたかったんだけどね、特別興行なのにたまたまこの時間!ってとこに歯医者の予定入ってて。。。(¯―¯٥)今日になったわけです。

んで、さっそく感想をば!!

まずね……泣いた。ひたすら泣いた。こんなに泣くかってくらい泣いた。

アスランが言った通り、こうなると敵も味方もなく、ただ皆が傷ついた…そんな戦闘からのスタート。Sフリーダム、∞ジャスティス、デスティニー、レジェンドのガンダム大混戦は作画もセリフの応酬も高レベルで大変素晴らしい。特にレイに促されるまま、フリーダムを2度も討とうとするシンに「もうやめろ!」と喝を入れながら現れる∞ジャスティスの格好良さったら!

ボロボロになりながらも彼がシンの説得を必死で試みたのは、一つにはカガリの大切な国を守るため、もう一つにはその国を実は誰よりも愛しているシンに道を間違わせないため。訳もわからないまま傷つけ合ってはいけない、とかつての自分を重ねて叫ぶアスランに、斬り掛かったものの咄嗟にグフを墜とした夜を思い出して動きが止まるシン。

この辺りで彼ら先輩後輩の想い合いがよく伝わってきて感動……でもレイはアスランを葬ろうとするし、キラもそんなレイを止めようと必死で応戦する。

そんな中ルナのインパルスは惜しくもジブリールのシャトルを逃し、その上旗艦のシグナルも途絶えた。自己判断でミネルバと所属MSを撤退させるタリアの英断。「議長が命じたのはジブリールの件であって、オーブを討てとは言われていない」と毅然と意思を示せる彼女は本当に優れた女性だな、と思う。兵を引くミネルバを見て「グラディス艦長……」とカガリ。アーモリーワンでの一件以降接近があっただけに、お互い人となりをよく分かってるんだよね。

で、問題のジブリールのレクイエム発射命令シーン。アプリリウスが一瞬で灰塵と化す絶望的光景……「お母さん……いやぁぁッ!」ミネルバクルーの中にも親がプラント首都で暮らしている士官は大勢居たはずで、悲壮な叫びが胸に迫る。それにしても、己の立場が危うくなったからってあんな殺戮兵器を使えるジブリールは思い切りが(悪い方向に)良すぎるんだよな……デストロイのこともそうだったけど。まあ、追い詰められた故の“窮鼠猫を噛む”的な行動とも言えるんだけどね。デュランダルが「世界の真の敵はロゴス!」なんて言って街頭ビジョンに彼らの顔まで晒しちゃってるわけだから、、、煽った結果とも……

とは言えそんな彼を直ちに捕縛できなかったことはザフト・オーブ両軍にとって大きな痛手。責任を感じるカガリと、「俺達の弱さが招いた結果だ」と厳しい一言を発するレイ。

いよいよ対ジブリールの総力戦が始まって、何もできない無所属のAAを憂えるマリュー。議長は彼(ジブリール)を討ったら今度はオーブを責めるだろう、と予測するアスランをマリューは「でも本当に終わるんでしょう? ジブリールを討ってそれで……」と訝る。

そこでラクスが取り出だしましたるは「デスティニープラン」メモ〜!遺伝子によって人の可能性を追求した結果の産物であるコズミック・イラを、遺伝子によって可能性を閉じることで争いの火種を封じるデスティニープランで精算する…それがデュランダルの考え。

夢を見ることは、望むことは無駄なのか?父や自分が目指した理想は人類悪なのか……?カガリの問いに、「無駄ねえ。無駄なことはしないのか?」とネオ(ムウ)。私の大好きなアスランの台詞、「俺はそんなに諦めが良くない」はやっぱり今日も刺さった(*´∀`)「そうね、私も」「そう(無駄だと)思ってたら僕たちは誰一人ここに居ないよ」とカガリを鼓舞する一同。「未来を決めるのは運命じゃない」という強い意志の力を見せることが出来るようになったキラに感動。運命のいたずらでガンダムパイロットになった彼が自分の思いで進む先を決められるまでに成長したとは……これもラクスやアスラン、マリューたちのおかげかな(#^^#)

で、今回私が一番涙したのはミーアの死だった……😭オーブの声明放送をジャックしたもののさらに演説をジャックされ、醜態を晒したことで一時お役御免になった偽ラクスことミーア。このままアスランの予言通り切り捨てられるのか?起死回生の一手は、野外シアターにラクスを呼び出して刺客に彼女を射殺させることだけ。アスランとキラに見守られながらメイリンとの買い物に興じていたラクスは(余談ですがスペエディではカットされてて悲しかったけど、「どうですか」と服を試着して見せるラクスにキラが「良いんじゃない?」と気の無いような返事をするシーンが大好きなんです。彼女が普通の女の子みたいに振る舞えるのはキラの前だけだなって)、赤ハロのメモを受け取ってミーアの前へ。「お手紙には助けてと書いてありました。殺されると……」ならば自分たちと来ないかと手を伸ばすラクス。「本物」の登場に自分のアイドルとしての時間の終焉を感じたミーアが自分がラクスとして振る舞うことの何が悪いんだ、と錯乱する様子は切なくて。直前にレイが発した「本物はいつだって正しくて、偽物は全て間違っているからか」という問いかけとも繋がるシーン。

確かにアルでも無く、キラにもなれなかった為に前途を閉ざされたクルーゼは世界を滅ぼそうとまでした訳で、そう考えるとミーアが抱いた絶望とか恐怖感も想像できるなあと。

でもラクスは「私と貴女は違う人間」だと諭し、「だから私達は他人とも自分とも出逢うことが出来る」と語る。心打たれたミーアだったが、サラたち刺客はラクスを狙って狙撃し出す。この辺のキラやアスランの流れるようなアクションは洋物映画ばりにスケール感があって良い!「大丈夫ですわ……ね?」ミーアに微笑みかけるラクスのやさしさと、そんな彼女を見守るキラとメイリンの視線も。

ムウが迎えに来て、自分もラクスたちと行こうとしたもののサラの銃口に気づき、咄嗟に躍り出るミーア。もっと違う形で出会いたかったと呟き、ラクスに整形前の自身の写真を託すところ本当に何度見ても悲しくて美しくて好きなんです。謝りながら死んでいくところも含めて、結構レイの最期と重なるなぁ……もしあのメサイヤでキラが連れ帰っていたら、キラとレイの関係はラクスとミーアみたいになっていたかも。嫉妬と怨嗟を乗り越えた友愛?みたいな。

何はともあれ、アイドルを夢見たかなしい少女を使い捨ての駒のように利用するデュランダルに、ここに来て明確な怒りを滲ませるラクス。そしてそこから先は……野暮なので書きません!笑 まだの人は観に行ってほしいしもう観た方には「何を今更!」©アスラン だと思うのでね💦

ここからは個人的に印象の変わったキャラとその理由を。

①ルナマリア

最初DESTINY観てた頃は、「ちょっとミーハーで快活な女子パイロット」という印象だったんだけど、ずっと謎だったのは「どうしてこの子はザフトに居るんだろう?」ということ。語られていないだけでシンみたいに切迫した動悸・理由があったのかもしれないけど…ただ、今回凄く感じたのは彼女が戦う理由のシンプルさ。ルナは「その時守りたいと思ったもの」の為にただ戦う。だからシンの足を引っ張らないように(勿論ジブリールを逃した負い目もあっただろうけど)インパルスでレクイエムを止めるべく善戦したし、メイリンがアスランとともに墜とされた後はその敵討ちの為、生きていたことが判明してからは彼女を利用して戦闘停止を説いていると思しきエターナルが、そしてアスランの生存が分かってからはメイリンを籠絡して連れ去ったであろう彼が怒りや憎しみの対象だった。でもアスランから「過去に囚われたまま戦うのはもうやめろ!」と説かれてからはどうやらアスランの真意はこれ以上争うことに無い、といち早く察してシンと彼が戦うのを止めに入るという。それにしてもあの時アスランがデスティニーを制止していなければルナは……と思うとゾッとします。生きててくれて本当に良かった。目を覚ましたシンに一番に「オーブは討たれなかった」と伝えるところがやさしくて好き。彼を抱き締める姿を見てると、お姉さんなんだなって。

最後、妹とももう一度笑いあえるようになって良かったな〜。。。

②レイ

元々種Dで一番はじめに好きになったキャラだったので今回もグッと来るポイントが100箇所あったんだけど、特に気づきを得たのはクルーゼとの関係。これまでレイって「デュランダルと結託している」とか「デュランダルの理想の実現のために〜」とか説明されがちだったんだけど(そして事実私にもそのように見えたんだけど)、じゃあどうしてデュランダルの説くデスティニープランの実現にそんなに躍起になるの?って言ったら、それは「デュランダルが目指した世界だから」ではなく「クルーゼを喪ったから」だったんだ……と今日初めてわかった。クルーゼやレイは前途が無い。ラクスやキラが語った「誰も未来の形を選ぶ権利がある」という自説の唯一の綻びがまさに彼らな訳で……そもそも選ぶ未来を持たない人はどうしたら良い?となった結果、クルーゼは世界への復讐を試みて果てた。それはある種自業自得なんだけど、家族であるレイは突然大切な人を亡くしたのだから、怒りを抱くのも当然で。結局彼もまたシン同様、やりきれない気持ちや復讐心を糧に戦っていたんだって思った。

だけど、よりにもよって自分やクルーゼを造った理由でありプロヴィデンスを墜とした敵でもあるキラに「命は何にだって一つだ!だからその命は君だ!彼じゃない!!」と説かれて決心が揺らいだ。キラの台詞は「貴女の想いや歌は貴女のもの。夢を人に使われてはいけません」というラクスの言葉と重なる……。

結果、メサイヤでキラに向けたはずの銃口はデュランダルを捉えた。キラの覚悟を悟ったから。例え万人の憎悪を買っても、人々が追求すべき自由と守るべき平和を勝ち得るのだというキラの使命感に気付いたから。その自由と平和は、世界条約と自国の憲法を持つ我々人類こそ噛み締めなきゃいけないものだなあと観ながら思った……。

レイは泣きながら彼の明日、と発したけど、キラたちの目指す明日ってなんだろう?多分「自分が自分で居る自由」かな。レイは多分明日死んでしまうとしても、「君は生まれてきて良かったんだよ」「君は君だよ」と言ってほしかっただけなんだよな。もしかしたらクルーゼだってそうだったのかもしれないけど……。でもデュランダルにはそれを言うことは出来なかったししなかっただろうと思う(クルーゼへの彼の思いは測りかねるが、一説には「レイ=クルーゼの臓器スペア」予定だったそうなので、レイのことはあくまで役割としてみてたはず。だからレイの台詞には「役目」の単語が多い)。

ミーアはその想いをラクスに託した。ステラはシンに。そしてレイは、シンとキラの二人に「自分は生きられない明日」の行方を託した……尤もシンにはデスティニープランの守り手になれ、という遺言しかしてないけど、きっとキラやアスランが事の真相を伝えてくれただろうから大丈夫かな。

③クルーゼ

いや、出てないじゃんってことなんだけど。レイの回想に出てくるクルーゼはいつもやさしげで、「親」だった。これ、種Dから観た人は「クルーゼめっちゃ被害者なのに死んじゃって可哀想…」と思うんだろうな。事実被害者ではあるんだけど、ヤキンでやることはやってるんだよ(汗)。。。

そもそもどうしてクルーゼはレイを拾ったんだろう?メンデルを襲撃するなら兄弟、もとい被検体ともども全部を焼き払うだろうし、そうでなくとも生き物を育てるような真似しなさそうなのに。でも多分前述の臓器スペアー説を信じるならデュランダルが命じたから、なんだろうな。理由が何であれレイにとって家族であったことは大きいし凄いと思う。ちゃんと親に育てられてないのに、愛され方を知らないのに何かを慈しむことが出来たなんて稀有なことだから。

多分メサイヤでレイの目に映ったお迎えクルーゼさん(言い方)が、レイの言う「お母さん」なんだと月辺は今でも思ってるよ。レイは父も母も知らないって言ったけどタリアの母性に触れたことで何だ、親居たじゃんって思い出したんだと想像する。これ(愛情)を以前にもくれた人を自分は知っているって。

④デュランダル

つくづく、彼はシンなんだと思う。デュランダルは狸で策謀家だけど、一方でひどく純真な理想家でもある。「争いを無くしたい」「欲に裏切られる憂いから人々を解放したい」という理念自体に嘘はないと感じる。けど、デュランダルには止めてくれるアスランが居なかったから行くところまで行っちゃった。女性一人自由に愛せない遺伝子の縛りに、人々を二つの人種に分けて戦わせる遺伝子の業に、絶望したからデスティニープランを発した。どうして良いか解らないからいっそ全部諦めようって考えた。

キラに彼は「人はすぐに忘れ、また繰り返す。「もう二度と」と誰が言える」と言ったけど、それってオノゴロ島でシンが呟いた「いっくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす」と同じだよね。裏切られたくない、もう無くしたくない。その思いは別にシンたちと変わらないんだ、一緒だなって。

とは言え駒にすると決めたものへの非情っぷりは流石の議長様で、アスラン、ミーア、味方の艦と次々不要な部品を切り離していく様子は怖かった笑。他でもないレイに撃たれたのはタリアが言う通り「運命」なんだろうね。彼が定めたルールが、一番信じていたレイによって壊されるっていうのは皮肉な話だけど、カタルシスでもあるなと感じた。これで良かったんだ、って。

⑤キラ

SEEDのキラは常に迷っていた。でもDESTINYのキラは迷わない。「決める」キラだった。その潔さが初見時は結構鼻についたもので(酷い)、ミネルバ組に同情的だったからというのもあるけどあまり理解できなかった。けど、スペエディに通うようになって凄くキラの心情が胸に迫ってきて……。

月辺、以前此処に「ロイエンタールはラクスに出逢えなかったキラ」だと書いたんですけど、まさしくなんだよね。キラは『SEED』でフレイやクルーゼたちに触れたことで、自分の存在が誰かを不幸にするんだ、不幸にしてしまったんだと知った。だからヤキン戦が終わった後は今はもう何もすべきじゃない、と一時軍を退いて、小さな家でラクスや島の子供たちと過ごした。でもまた戦禍が世界を飲み込もうとしていることを悟った時、彼は「こうするしかないし」とフリーダムで飛び立っていく。それが出来たのはきっとラクスのおかげ。「あなたがやさしいのはあなただからでしょう?」キラを一人格として、一人の人間として受容してくれた彼女が居たからキラはレイの命を肯定できたし、デュランダルに「僕は皆と変わりない、ただの一人の人間だ」と宣言することが出来たのだと思う。キラは戦うことで(誰かを傷つけることで)咎を受ける覚悟も決めているし、罪の意識も十分すぎるほど持っている。でも彼はもう自分を責めないし、誰かを責めない。その強さがキラだと思った。

⑥シン

何度観ても好き。シンはちょっぴり馬鹿で怒りっぽくてコドモだけど、誰よりピュアで情感豊かな少年。だからレイやステラの境遇に同情して、デスティニープランを否定しきれなかった。でも本当はオーブを討ちたくなんてなかったし、遺伝子で人生を決めるなんて無理だと思っていた。

アスランに何度も怒りをぶつけたのは甘えがあったから。守らなきゃ、戦わなきゃと背負うものばかり意識していたシンにとって、唯一もたれられる相手がアスランだったから。彼のおかげでルナを殺さずに済んで、オーブを滅ぼさずに済んで。辺り一面を埋め尽くす信号弾の光を見て泣いたシンは、停戦後に訪れた慰霊碑の前で「ここ、嫌で……ずっと来れなくて、でも気になってて。でもこんなの(このまま)はもっと嫌だ」と呟いたシンは、キラと握手をして涙を流したシンは自分への苛立ちや怒りを募らせたんだろうな。ずっと間違えてたんだ、どうして間違えちゃったんだろう、もう失くしたものは返らないのにって後悔したんだろうな。だからこそ視聴者たる月辺はシンに最も共感できた。後悔とか苛立ちって凄く人間的な感情だから。でもキラが言う通り、また花を植えることは出来る。これから変えていくことは出来る。アスランのナレーションじゃないけど、楽園は戻らない過去じゃなくて、これから進む未来にこそあると信じて戦っていけば良い。そういうキラの考えに触れて、少し意識が変わったのかな?って。自分の考えを見せていないシンとラクスが、今度の映画でどんな風に「茨の道の先にある自由/楽を出来る代わりに何も選べない運命」の二律背反に決着をつけるんだろうってとても楽しみ。

 

他にも、オノゴロでの戦闘で傷が開いたアスランが気を失った時に∞ジャスティスを抱き留めるSフリーダムのカットがMS同士なのにめっちゃ人間らしくて耽美でやさしいなぁとか、ムウさんのフラッシュバックシーン(「もう俺は何処にも行かない」)が何度観ても好きだなとか、シンルナを迎えに来てくれた∞ジャスティスの手良いな〜、アスランやさしいなとか、カガリには本当に幸せになってほしいとか(メイリンの前では気丈に振る舞ったけど、指輪を外して国と生きることを決めた彼女は本当は凄く苦しんでて、その頑張りが本気で報われてほしい)色々思うことはあったし、兎に角「ギル射殺→Fields of Hope(+停戦信号)→オーブの慰霊碑→君は僕に似ている」の流れが大好きすぎて切なくて……

もう、90分嗚咽を堪えっぱなしだったよ。全員大好き。SEEDシリーズに出会えて本当に良かった。

病床のアスランに、キラが忘れがちだけどこういう時間が大事だと語った「仲間、大切な誰かと語らう時間」を当たり前に持つことが出来ている自分って幸せだなって改めて感じる。そして慰霊碑の前に集った7人が、そういう関係になっていけたら良いなって強く思う。SEED FREEDOMでまたひとときの平和が壊れるのは辛いなー……。でもスクリーンで動く彼らに早くまた会いたいな~!!と矛盾を抱える月辺なのだった笑。