全ての記憶が戻った私は泣いていた
辛い記憶が甦ったのが悲しかったのか
どうして泣いてしまったのか今でも
わからない
だけどもう騙せないと 心がつぶやいた時
涙が流れていた
ただ静かに泣いている私を 先生は黙って
待っていてくれた
そしてようやく出た言葉は
「ずっと…ずっと辛かった。どうしたらいいのか わからなくてずっと悩んでた。誰に相談しても反抗期とか言われるだけでまともに取り合ってもらえなくて…それに零はいい子だったから誰にも暴言を言うなんて信じてもらえなくて辛かった。」
ようやく私の本音が出た
「そうですか。辛かったですね。でも大丈夫ですよ
もしまたお子さんが暴言言ったらここに連れてきて下さい。僕が コラッ!母ちゃん泣かすなって言ってあげますから。」
先生の言葉に笑ってしまった
「アハハ…そうですね!そうします!」
こんなやりとりをして診察は終わった
会計を済まし外に出ると とても綺麗な
青空が広がっていた
何だろう…まるでフィルターがとれたみたいに
景色が明るく綺麗に見える
うん!大丈夫だ!何だか頑張れる気がする!
久しぶりに見上げた空に勇気づけられた
そして私はずっと出来なかった
障害者年金の手続きをした
記憶が戻ってからは書類を見ても 頭痛や
手が勝手に動く事もなく 書類に向き合えた
先生に手続きするよう言われてから
もう2年が過ぎていた
本当に生活が厳しくて書類を書いて出せて
いたらどんなに楽になれていただろう
ようやく書類が出せた事で またひとつ
前に進めた気がする