日常生活を取り戻している時 

もう一つ取り戻した事があった


それはずっと思い出せなかった記憶の一部


思い出そうとすると身体の防衛本能に

ひっかかり拒絶反応を起こしてしまうため

自力で取り戻す事は難しかった


だけど私の記憶は意外な形でよみがえる


毎月の病院の診察の時 まだ零が暴言を

言うので困っている事を先生に話していた


薬の副作用での暴言は治っていたが

それでも思い通りにならないと私を困らせる

ため暴言を使っていた


私はそれが嫌で仕方なくストレスから 

身体に痛みや痺れを起こしていた


私の話を聞いていた先生がこんな事を言った


「安藤さん貴方は今 お子さんからDVを

受けている状態です。」


 ? 「DV?」


「はい。本来は恋人や夫から受ける事が多いのですが 貴方の場合はお子さんです。」


「や、やだな先生 何言っ…」


次の瞬間 私の中で何かが弾けた


ずっと思い出せなかった記憶が溢れ出した


次々と甦る記憶がまるで走馬灯の様で

止まらない


そしてひと通りの記憶が出尽くした時

私の心がつぶやいた


 もう(自分を)騙せない…