零の大きな目が私を見つめる


自分が何をされているのかわかるわけもなく

ただ 静かに私を見つめていた


どのくらい見つめ合っていただろう

ふと昔の記憶が蘇った


記憶のなかの零はまだ幼く

可愛い顔で私を見つめてこう言った


「まま れいちゃん すき?」


「零ちゃんが1番好きだよ。」


そう言うと

嬉しそうにニコッと笑って


「れいちゃんも まま すき!だいすき!」


 大好き


いつも私に言ってくれた

私の事が好きで仕方ない顔で見ていたのを

知っている


零の頬にポタッと私の涙が落ちた


「う…うっ…うわぁー」


あんなに大切に育ててきたのに 今 私は

何をしているのだろう…


今 自分のしている事に悲しみが溢れた


そしてこう呟いた


「零はずるいな…こんな時に限ってぶっつぶす

 って言わないんだから。」


そう言うと零の隣に倒れた


「ごめんなさい…」 涙が溢れて止まらない

「ごめんなさい…ごめんなさい…」

ただ謝り続けた


謝りながら 私は意識を失った。