いよいよ零が ぶっつぶす 以外の言葉を

言わなくなった。


一緒にいる間 永遠言われ続ける。

まるで呪文の様に呟かれると人間は精神が

おかしくなるのに時間はかからない。


次第に私の精神状態に変化が起きはじめた。

零といるのが苦痛で仕方ない。

身の回りの事はちゃんとやる。だけど

今までの様な親子の関係は築けなくなっていた。


もう顔を見ることすら出来なくなっていて

食事の介助などは口元しか見れなかった。

口が開けば食事を運び食べなくなれば

やめる。

歯を磨いたら零が寝るまで玄関で過ごした。


一緒にいるとどうかなりそうで零の居る

部屋から一番遠い玄関に逃げていた。

そうはいっても狭いアパートなので声は

ちゃんと聞こえるから何かあればすぐに

戻る。


この頃は夕食も玄関で食べていた。

とにかく零が寝てくれるのを待ち続ける。

いつもなら9時に寝てくれるのだがこの頃は

興奮状態になっていて中々寝てもらえなかった。


ひたすら待っている間玄関のドアを見つめて


逃げたい と思っていた。


このドアを開けて逃げ出すのはとても簡単な

事なのに出来ない。

もしも私のいない間に何かあれば私は

保護責任者なんとかで捕まるかもしれない

そんな事を思うと行動に出れなかった。

こんな田舎で何かあればすぐにバレる。

親に迷惑をかけたくなかった。


逃げ出したいのに出来ない悲しさから

泣いて過ごす日々が続いた。