この病院で大切な子供を失った人達は

 自分の子供が最後にどんな扱いをされて

 いたのか知っているのだろうか。


 この病院の入所者のほとんどは重度障害者

 で話すことの出来ない人が多かった。

 その為自分からどこが痛いのかなど伝える

 事が出来そうにない。

 

 零の様に意識不明になっていても放置する

 のだからお腹が痛くてうずくまっている

 ぐらいだとまず何もしてもらえないだろう。

 

 この病院が動くのはおそらく心停止もしくは

 呼吸が確認出来なくなってからだろう。

 それまでどんなに異常が見られても放置して

 心停止したら送還もしくは他の病院に送り

 ギリギリまで頑張りましたがダメでした。

 とでも説明するのだろう。


 ほとんどの親達は何も知らないのだから

 わざわざ高額な司法解剖なんかにまわさない。

 ましてやこんな田舎でそんな事がある訳ない

 と思っているだろう。

 だからどんなに不審に思っても考え過ぎと

 自分を納得させ病院に


 「今までお世話になりました。」


 と挨拶をして病院を去っていくだろう。