自動車産業に見る日本式経営の変貌 | 藤原雄一郎の時事通信

自動車産業に見る日本式経営の変貌

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自動車産業に見る日本式経営の変貌


皆さんもう忘れてしまったかも知れませんが、マツダや日産が破綻の淵にあった時代を思い出してください。過剰人員をかかえて、高度成長期からバブル崩壊の課程で日本の企業がどれほど苦しい思いをしたことか。


そして世界に冠たる日本式経営の強いところをグローバル・スタンダード信奉者の欧米自由主義経済の手先が、見事に破壊してしまいました。そして必死のリストラ大作戦で、生き残った日本企業において、日本式経営の神髄である人を大切にする「年功序列・永久雇用制度」は見事に打ち砕かれました。


金融ビッグバンに新会計制度がその重大な役割をはたし、ホリエモンや村上にハゲタカファンドが跋扈する、「会社は株主のもの」という「株価至上主義」の風潮が蔓延したのです。そしてこの風潮に乗り遅れた企業をマスコミは厳しく叩きました。その結果生まれた、「日本の企業を雇用を守る苦しみから解放する『魔法の杖』」が「製造業での派遣社員制度の誕生」だったのです。


ですから企業は「仕事の変動に応じて人件費を自由に変化させることのできる」派遣社員をこぞって採用しました。本来は景気の変動に応じて「派遣切り」は頻発するはずでした。でもバクチマネーのおかげで、戦後最長の好景気が続き、アメリカのサブプライム問題と同じく「派遣切りは永遠に起こらない」との常識が浸透しました。ですから、今発生しているような「派遣による労働力調整の問題点」は全く見過ごされてきたのです。


そこへ降ってわいたかのような「派遣切り」の大量発生です。マスコミは狂ったように大騒ぎをして「派遣切り企業は悪」と煽り立てています。この問題は「製造業に派遣」を認める時に法的整備をしておかなければならなかったのを放置した与野党を含む国会の怠慢です。同時にこのような問題を見抜くことが出来なかったマスコミの不勉強の責任です。マスコミは自分の不明を恥じるべきで、今のような「見当はずれの大騒ぎの煽り」をする権利は全くありません。丁度ホリエモンや村上が規制緩和をいち早く先取りして、法律の整備が後追いになったのと全く同じ性格の問題です。


私は今回、かくも大規模に「派遣切り」問題が噴出して良かったと思います。世の中がはじめて「派遣にかかわる法的整備の不備」に気がついたからです。でも、マスコミは視聴率向上のためにタダ騒ぐだけ。そして肝心の政治家は与野党を問わず、選挙に目が行って、その場しのぎの対策しか打とうとしていません。もっともっと根本に立ち返って、体系的に矛盾のないしっかりとした法的整備をしなければなりません。


現在のような場当たり的対応では、「国民の税金を際限なく注ぎ込む」かあるいは「企業行動を縛って企業の競争力を削ぐ」かの二者択一しかありません。100年に一度の危機が押し寄せているのに政治の機能不全で、傷口は広がるばかりです。いいかげんに党利党略政治を改めないと本当に取り返しのつかないことになります。


ここは政治的に一時休戦をして日本国の危機に対応してもらえないものでしょうか。そしてマスコミも少し黙ったらどうでしょうか。