プレゼンについて考えていると、自然にフォントが気になりだした。
そのなかでも、「游明朝体」はずっと気になっていた。
マイクロソフトのオフィスの標準フォントになって、さんざんに非難を浴びまくっている。
特に、エクセル関係者からは、WYSWYGでないとかいわれたり、デフォルトのフォントを変更する方法がネットにアップされたり散々な言われようをしている。
なぜ、「游」なのか? 「遊」じゃないのか?というところもある。
私はエクセル単体で完成された印刷書面を作ろうとも思っておらず、たんなる集計表としかみていない。
なので、文字が切れようがはみ出ようが、フォントがなんであろうが、基本的にどうでもよい。
セルのデータこそが大事なのである。
一方、ワードについてはそうでもない。
ワードはワードプロセッサーであり、印刷ソフトと認識しているからだ。
だから、一応フォントを気を付ける。
フォントは、基本的にMS-P明朝を使う。
オフィスで情報共有するには一番見慣れたフォントが違和感がないからだ。
ところがだ、先日ワードで作った、固めの公式書面になぜか游明朝体を使った。
なにか引っかかるモノがあった。
MS明朝に比べて、線が豊かなのだ。それが強い感じさえする。
フォントもプレゼン資料を印象付ける重要な要素なので、プレゼン科学研究所ではきちんと理由をつけて使用するようにしている。
※メイリオとSegoeを使うことを推奨している。
であれば、ちゃんと、何故游明朝がいいのか?悪いのか?かくらい考察しなければならないのだが、すっかりぬかしまくっていた。
でも、これで(結果論だが)よかったと思っている。
この現代において、分からないことがあれば、すかさずGoogle先生聞くことが半ば常態化している。
すぐわかることは、それはそれでよいが、どうしてもトップヒットの結果だけを表面的に理解するだけに終わってしまっている。
どうでもよい予備知識をひけらかすことが楽しみな私のような人間にとって、ちょっと物足りない。
なので、分からないことを心の奥底でじっとしまっておいて、何かの拍子に腹落ちしたように分かった時の満足感はない。
思いがけないつながりを、人に自慢することもできない。
もしかして、游明朝体は意図的ではないが、私にわざと検索させずにいたのかもしれない。
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図書館をぶらぶら見てまわっていると、何故か心惹かれるタイトルが目に付いた。
「文字を作る仕事」 鳥海修 品分社 厚さ2cm弱のハードカバー
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借りる冊数の余分もあったので、借りて帰った。
寝る前の、睡眠薬代わりに読み始めた。
鳥海修氏の会社の「游字工房」は、文字フォントを製作する会社だ。
その会社では、ヒラギノや游明朝体のフォントをデザインしていることが分かった。
本書は、文字フォント製作に関しての技術書ではなく、その製作の背景や製作に関わる人々の話しが書かれている。
フォントは「空気や水のよう」でいて、独自のイメージや世界観を持っているそうだ。
この場合のフォントとは、タイトルではなく、読むための本文のためのフォントだ。
作品の世界観には専用の本文フォントがあるらしい。
游明朝体は、藤沢周平の蝉しぐれの世界観を持っているというのである。
作中の、文四郎(主人公)とふく(主人公と特別な感情を抱くが、結ばれない)が、再開を果たす場面を想定しているのだとか、、
これを知った時は、かなりの衝撃ではないが、蝉しぐれの奥深さを感じた。
藤沢周平は好きな作家のひとりで、特に蝉しぐれは何度か読み返すほど好きな作品だ。
藤沢周平の時代小説は江戸時代の山形県の物語が多い。川や山が静かに季節に移ろいでいる風景がえがかれている。
私は特に、川の描写が好きだ。川の静かに流れる音が聞こえてくるようだ。
フォント製作者の鳥海氏も実は山形県の出身。
本の中には、育った山形県の山や川の話しもある。
両者は山形の自然風景の世界観を共有している。
こうして出来上がったフォントが游明朝体なのだそうだ。
本の中では、鳥海さんが子どもの川遊びの話しも出てくる。
そうか、それで「遊」てなくて、「游」のなのかもしれない。
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游明朝体に何の悪意もない。悪意どころか、東北の自然の世界観を表現しているすばらしいフォントだ。
そういわれてみると、游明朝で印刷したワード文書は藤沢周平の文章に見えてくる。
だけど、何故にマイクロソフトはオフィスソフトに標準採用したのだろうか?
あの、殺伐とした(私の感想)、エクセルの標準フォントにだ!
みながみな、藤沢周平の世界観をオフィス文書ワークに求めているとは到底思えない。
あまりに、謎だ。
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折しも、高輪ゲートウェイ駅の看板文字が、明朝体なことでネットのニュースが盛り上がっているときだった。
こちらの、私は専門家でないので、どの明朝かは分からない。ヒラギノだと書いた記事を一つ見かけたが。。
マイクロソフトと、JRがなぜ(游)明朝を採用したのか?
こちらも、謎だ。
でも、これも、あれも、あえて検索せずにちょっととっておこうかと思っている。
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