プレゼンを技術で科学する プレゼンデザイン研究所の植田です。
前回、著作権についての既視感を話しました。
これは、特許についてもいえるのですが、、このブログの趣旨ではありませんので、割愛します。
今回は、特許のプレゼンについて例を示します。
まず特許の基本について話します。
特許出願を経験したことが無い人にとっては、まことに分かりずらいの恐縮ですが、、ちょっと我慢してくさい。
一言で言うと、
特許とは、「特許法」で規定されている行政処分です。
- 特許出願
特許を取る場合、自分が特許にして欲しい権利の内容を、書面(特許明細書とか)に書いて、それを担当する行政機関=特許庁に出します。
これを特許出願といいます。
- 審査
審査官と呼ばれる行政官が、この書面を読んで審査します。そして書面に書いてある「特許請求の範囲」が、特許法に書いてある条件を満たせば、「特許」を出してくれるという決まりです。つまり、行政処分です。
専門の方にとっては、あまりに雑で怒られる書き方です。
重要なのは、自分が特許として認めてほしい事柄は、「特許請求の範囲」に書いてあるということです。
もうちょっと付き合ってください。もうじき面白くなります。^^;;
少し前に、NHKの番組「逆転人生」で、「最強アップル v.s 貧乏発明家」という回がありました。
日本の発明家の特許が、iPodに使われている。しかも、無断で! という内容です。
iPodの特許といっても、iPodそのものではありません。
あの、特徴的なクリックホイールの構造についてのアイデアです。今では無くなりました。
私は、残念がら見逃してしまいましたが、私の周りの知財界隈からも結構な反応がありました。
どっちかというと、番組内で使われている特許関係の用語の使い方が変だという、突っ込みでしたが。。
そこで、私はその発明家さんが特許庁に出願した特許明細書をネットでダウンロードして、これを図解することにしました。
行政処分なので、出願した書面は見ることができます。ネットでダウンロードもできます。
それが、これです。紙面の都合上一部のみです。
直線または平面曲線もしくは空間曲線状の所定の軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーを配したタッチ位置検知手段と、該タッチ位置検出センサーの用いられる軌跡上で指が移動する方向以外の物理的な移動または押下により接点のオンまたはオフを行なうスイッチ手段とを有し、前記タッチ位置検知手段による軌跡上のタッチ位置の状態と、前記スイッチ手段による接点の状態とを一体化させて検知することを特徴とする接触操作型入力装置。
正直、日本語として理解がツライいレベルです。
そこで、意味をあまり考えずに、文言の特徴だけを、機械的に拾って色付けしてみます。
キーワードは、以下
- 手段
- 状態
- 装置
- 特徴
さらに、「と、」で文章を区切って改行します。
これは、これは、特許法の実務知識が若干必要ですが、平均的な日本語を知っていれば機械的にできる範囲です。
しいて言えば、特許実務的には「手段」が大事ですので、最初に「手段」でキーワード検索しているだけです。
このやり方は、英語であっても使えます。
英語の場合は、「手段」は、[means]だったりします。
そして、ざっくりと論理を整理すると、
- 状態を検知する手段がある。
- 検知した二つの状態を、一体化検知する。
というストーリーがスケルトンであることがわかります。
あとは、手段とか状態がいろいろ修飾(これを、限定といいます)されていることがわかります。
これも、機械やITの技術用語をしらなくても、平均的な日本語を知っていればできます。
こうして、単なるテキスト処理をすることで、この文章の骨格が見えてきました。
「該」、「前記」という聞き慣れない言葉があります。
「該」は、「当該」の略で、「前記」の一部です。
この書面で前に書いてあるアレですよ。と言ってます。
「該」は、直前行にかいてあるアレ
「前記」は、数行前にかいてあるアレ
区別せず、「前記」や「当該」で通す場合もあります。
この例のように区別している場合もあります。
英語では、どちらも「the」です。
もっと簡単に、「その」「其の」でもいいとは思いますが。
基本文語体で、論理を厳格にするために、このような「指示語」が使われます。
特許明細書を初めて読む場合、これに惑わされます。
私もそうでした。。
分かってしまえばどうということのないことのない、ちょっとした作文技術です。
テキスト処理をすることで、特許請求の範囲の怪しい日本語が箇条書きになりました。
これだけでも、かなりの理解が進みます。
さらに、これらを図解するとこうなります。
一目でわかる形になりました。
おそらく、この訴訟において、様々な人が関与しているはずです。
これらの人が、一致協力して裁判に立ち向かっていったことでしょう。
当然、人ごとに理解の仕方や、使う文言やそれに含める意味が違います。
特に、特許は「技術的思想」であり、同じ内容でも、各人違う表現や、意味づけをしてしまいがちです。
そこで、このような図を用意して、共通理解を確認していったのではないかと想像します。
--- いろいろな記事に続く

