みなさん、おはようございます。

休日は、河より長くユルヤカにブログ書いている植田です。

 

 

高校野球の選手宣誓、あれ、プレゼンですよね。

 

選手宣誓とは、まさか、

  1. 片手を上げて、
  2. 定形文句

    『我々、選手一同は、スポーツマンシップに乗っ取り、正々堂々と戦うことを誓います』を、

  3. しかめっ面で、絶叫しながら、一気に捲し立てる

って、と思ってませんか?

 

そこのあなた、古いんです。古すぎるんですよ。ネアンデルタール級ですよ。

    今のスタイルは、

    1. 手は、あげない。 
    2. Jポップの歌詞っぽい内容で
    3. 静かに語りかける

    です。1980年中盤からそういう流れなんだそうです。このことについては、

    陣内正敬 関西学院大学教授(故人)の研究「高校野球・選手宣誓の時代性」(2012年) 

    において、大真面目に論考がされております。

    なお、その論文とこのブログは無関係ですが、

    百匹目の猿で厳密に証明されても、おかしくない超常現象です。

     

    昭和末期のバブル期に端を発するナウ~い選手宣誓の特徴は、

     

    1.手は、あげない。

    戦争を想起させるポーズはやめれってことですかね?

    でも、あのキビキビ整然とした入場行進の風景には違和感を感じないんでしょうかね?

    美人すぎるマネージャーばっか見ている人には、分からないことでしょう。

     

    2.Jポップの歌詞っぽい内容で

    今や野球で「闘う」から、野球を通じて「夢を成し遂げる」といった、

    愛、情熱、心内といった、定量化不可能な概念を、仲間、関係者、親戚縁者、近所の人やオケラやモグラやアメンボにだって語る内容になっています。

     

    宣誓内容は、部員全員で(もう、ここからして昔と違う)考えたことになっています。

    開会式後のインタビュー(質疑応答)でも、よどみなくそう言いきってますので、たぶんそうなんでしょう。

     

    「友情」、「努力」、「仲間」、「夢」、「絆」、「感謝」、「諦めたらそこで試合終了ですよ」といった、

    キラキラ感満載のワーディングが並びます。まるで少年ジャンプのようです。

    私のような、すねたおっさんには、眩しすぎて、動悸・息切れがします。中二病が再発します。

     

    決して、「根性」、「必死」、「ファイト一発」、「不撓不屈」、「徳俵」、「なせばなる」、「灼熱地獄」、「ちかいの魔球」とか、「水を飲んだらバテる」とかといった、暑苦しい言葉はありません。

    時代が違うんです。爽やかにユルくスルーする時代なんです。

    試合前に「ユンケル」飲んだり、黒にんにく食べたりせずに、

    試合中に「爽健美茶」でこまめに水分補給して、シーブリーズ(香りにこだわる系)なんですよ。

     

    さらには、「ぼくたち」、「ありのまま」、「いいんだよ」とか、「河より長くゆるやかに」、「自分を探そう」、「耐えきれない」、「もうどこへもいけない」とか「弱い自分を認めよう」、「ナンバーワンよりオンリーワン」とか、

    まるで、とある坂46の歌詞にあるような言葉が出てきて、宣誓後には気絶しないかハラハラ・ドキドキです。


    一方で、災害、病難、事故多発の艱難辛苦を味わっている多方面への配慮も怠ってもいません。

     

     

    と、ここまでは、いわゆる空中戦。

    てきとーに言いたい放題。

    高校なんでね。

    許してね。

    てへ、

    ぺろ。

    です

     

    おそらくは、コレを基にして、地上戦が展開されます。

    国語科の先生の出番です。

     

    降って湧いた、というか、少し期待していた事態に、

    足が震え、声が上ずり、目はカスミ、踵がひび割れ、喉がカラカラに乾いて、

     

    「こいつら、授業中はいつも寝てるか、弁当食ってるくせに。。。ショーガネぇなぁ、ふふふ」なんて、

    職員室でだれもきいてないのに、数学教師にはしっかり聞こえるように、独り言をいってみたりします。

     

    これは一世一代、国語教師の晴れ舞台なんです。

    職員室内地位向上の絶好のチャンスでもあります。

    ここに、「王政復古の大号令をかけよ!」と意味もなく心のなかで決意します。

    千載一遇、ワンチャン、ちょーさん、野村克也なんです。

     

    でも、もしものコトがあれば、

    一生言われます。

    ネットに永遠に残ります。

    親類縁者が笑いものになり、

    教育委員会ではキビシく責め立てられ、

    通いの飲み屋のちーママにはソッポを向かれます。困るなぁ。

    マジ、切腹モノです。

     

    なので、一人じゃ、後々責任問題になったとき逃げ場がないので、速やか・火急に選手宣誓作文プロジェクトチームが結成されることになります。

    国語科教員結局南極全員一致団結嘘偽りワンチーム2号でコトに臨みます。

    チームワークいいふりしたリスク管理もやっときます。

    これが、いい大人ってもんです。

     

    まずは、生徒から提出された(あるいは半ば奪い取った)中二病原稿を片手に

    修正・推敲・熟考・忖度を繰り返します。

     

    とりあえず、接続詞を補足して、助詞を正し、かかり結び整え、ら抜き言葉を改めます。漢字の間違いは5点減点しときます。

     

    「八紘一宇」、「5G」、「全共闘」、「IR」、「年金問題」、「GSOMIA」、「桜を見る会」、「闇営業」、「田代まさし」、「ちょべりば」、「ちょーwww」、「ローランド」といった、時代錯誤・遅れ、取り扱い困難でビミョーなオタク系ワードもきっちり排除します。

    念の為に、ハッシュタグも検索して、抜けはあろうはずがありません。

     

    文法的にただしく、誤字脱字がなく、正しい敬語を使った、差し障りがない、360度どっからもツッコミどころがない、ネットで叩かれない、

    言語明瞭かつ意味不明な宣誓文が、きりきり練り上げられていきます。

     

    やればできるんです。ダテに、ムラカミハルキの初版本を集めているわけではありません。ごん狐なんて公開授業で千回は読んでます。

     

    教頭、校長、PTA会長、高野連、中ピ連、戸締まり点検委員会、そこまで言って委員会にも事前提出して根回しをしておかなかればなりません。

     

    こうして、国語科教員エレキテル連合により作り込まれた珠玉の宣誓文が恭しく厳かに下賜される訳ですが、、

    青臭い青春の主張は、大人向けに換骨奪胎され、すでにそこにはないわけです。

    結局、生徒からは、「ちげーよ」と、さらりと無惨にも無視されます。

     

    3. 静かに語りかける

    選手宣誓は驚くほどゆっくりと語りかける口調になりざるを得ないのです。

    言いたいこと・伝えたいことで120%充填された内容なのですから、

    内容からして、早口でいったら、オモミも種籾も元も子も新井素子もありません。

     

    こうなると、選手宣誓というより、

    MCで人生を語るエグザイルのアツシになった気分です。

     

    でも、

    噛んでしまったら、LINEで既読スルーされるとか、

    滑ったら、即死だとか、

    声が裏返ったら、合コンに呼んでもらえないとか、

     

    びびってる風にもみえず、、

     

    なんか、楽しそーに、選手宣誓してるよね。今の子は。

     

     

    それが

    いいんですよ

    ココロがこもっているから

    その時間は、君がセンターなんだから

    でも、忘れちゃいませんか

    最後のあれ、

    あれ

     

     

    バッチコーイ \(^o^)/

     

    「ご清聴ありがとうございました」と言う人のイラスト(男性)

     

    --- いろいろな記事に続く