【書評】CUBA ユーウツな楽園 | PASTBLOG

【書評】CUBA ユーウツな楽園

CUBA ユーウツな楽園/田崎 健太
¥3,000
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ライター/ジャーナリストである著者の、キューバルポです。
カストロ政権の失策と圧制という負の側面、それでいてそれがもたらす社会主義政策(独裁)による「国民への生活の保障」「警察による治安維持」、そして豊かな環境資源(温暖な気候とカリブ海)という正の側面をきちんと書かれています。そんな微妙かつ絶妙さで成り立つ国・キューバ。それがタイトル「ユーウツな楽園」なのでしょう。

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ただの写真集ではなくルポなので、会話を通してキューバの文化に触れることができる。これが一番素晴らしい。
あるいは出逢ったキューバ人のストーリーが面白く(interesting)、こんだけ深く突っ込む旅をするのも面白いだろうなと思う。むちゃくちゃ旅に出たくなる本でもある。

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僕が最初キューバに触れたのは、何だったんだろう。チェ・ゲバラはアイコンが有名だったから、それは知っていた。その次は高橋歩さんのような「旅」系統の本だったかもしれない。

あ!もしかしたら「カクテル」かもしれない。歩さんがどこかの本で「旅の映画」のような形でお勧めしていた。
若かりしころのトム・クルーズが主演で、ストーリーはなんてことないバーテンダーの成功物語を綴ったものだけど、そのカクテル作りのパフォーマンスが話題になった作品だ。全体の雰囲気もクラシックな感じがたまらない。

と書いたところで調べたら、舞台の(一つである)ビーチはジャマイカだ。笑
一体キューバは何なんだ。

ただ、クラシックカーがブンブン走っていて、カリブ海が広がる「社会主義」の国。もうそれだけで十分だった。足を運ぶには。
アジアとインドを旅した後は、絶対にメキシコとキューバに行きたいと思っていた。それが大学時の夢だった。

特に書物をしっかり読んだわけではなく、「ブエナビスタ ソシアルクラブ」は行く直前に見た。しかも途中でプレーヤーの調子が悪くなって最後1/3は見ていない。「モーターサイクルダイアリーズ」も見ていない。あ、「チェ 28歳の革命」、「チェ 34歳別れの手紙」はきちんと見た。

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そして、僕が見たキューバは、キューバそのものだった。

単なる(しかもショートトリップの)旅行者だからだいぶいい生活をしていたけれど、確かにキューバに出逢った。今まで行った国の、どことも違う。建築は16Cコロニアル調で欧風だけど、黒人の存在感はすごい。それでいてアジアのような乱雑な感じはない。貧しいけれど、(人が)荒れているという印象はない。旅行者が大事にされているというのは確かにあるが。それが表層だとしても、この本を読んだ限りそういう表裏はそもそも無いんじゃないかと思ってしまう。

一番印象に残った節を紹介します。

「俺だって他の国に出掛けて金を稼げればと考えることもある。でも、キューバのことが一番好きだ。他の第三世界の国と比べるとこの国は楽園だと思う。勉強や医療で人は困ることない。ラテンアメリカの他の国を見てごらんよ、腐敗ばかりだ」

これが、素晴らしく言い得て妙。

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◆作者web

週刊田崎
http://www.liberdade.com/tazaki.htm

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