折角なので、転載します。
岸田首相の外ヅラを最重視。広島サミットに向けた公共事業が炙り出した「ムダと恥」
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あまりにも外ヅラ重視で、「やってること」と「言ってること」が正反対の岸田首相にギャップ萌えするのは、有権者の約14%の自民党支持者だけ。大半の国民は、この厚顔無恥な首相の白々しい「広島サミットでの外ヅラ発言」の数々を、バッサリと伐り倒されてしまった原爆被爆樹木のシダレヤナギと同じように、下を向いて聞き流すことになるでしょう。
外ヅラ重視な岸田首相の厚顔無恥。広島サミットは本当に大丈夫なのか?
5月19日から3日間の予定で開催されるメインディッシュの「G7広島サミット」に向けて、4月15日~16日に札幌で開催された「G7環境相会合」を皮切りに、軽井沢での「G7外相会合」、倉敷での「G7労働相会合」、宮崎での「G7農水相会合」、高崎での「G7デジタル相会合」と、これまでに前菜やスープが次々と供されて来ました。5月からは、新潟での「G7財務相会合」、仙台での「G7科学技術相会合」、富山での「G7教育相会合」、長崎での「G7保健相会合」などが続いて行きます。
そして、メインディッシュの「G7広島サミット」が終わると、6月には伊勢志摩での「G7交通相会合」、日光での「G7男女共同参画相会合」、7月には東京での「G7法務相会合」、高松での「G7都市相会合」、10月には堺での「G7貿易相会合」、12月には水戸での「G7内務相会合」と、半年を掛けて豪華なフルーツやデザートやカフェが供されて行きます。
こうして「G7サミット」の全体の日程を見てみると、もちろん花形は各国首脳が集まるメインディッシュの「G7広島サミット」ですが、それだけが重要なのではなく、前菜から食後のカフェまでを含めて「G7サミット」だということが分かると思います。それなのに、今回の日本が議長国である「G7サミット」を見てみると、岸田文雄首相の晴れ舞台である「G7広島サミット」にだけ、異常な規模の予算が投入されているようなのです。
あたしがそう感じたのは、3月27日(月)の文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』に出演した、月曜コメンテーターの森永卓郎さんの次の報告でした。
森永卓郎さん「広島へ行ったら空港から市内までの道路を舗装し直してるんです。何の問題もないきれいな道路だったのに、何で舗装し直してるのかタクシーの運転手に聞いたら『G7サミットの準備』と言うんです。岸田首相のメンツのために税金で無駄な公共事業、驚きました」
百歩ゆずって、もともと傷んでいた道路を「G7サミット」の開催に合わせて整備するというなら分かりますが、きれいだった道路を舗装し直すなんて、岸田首相が「G7広島サミット」で声高に宣言する予定の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)の実現」に完全に逆行しているじゃないですか?
そして、次に飛び込んで来たのが、原爆被爆樹木のシダレヤナギを誤って伐り倒してしまったという悲しいニュースでした。広島では、爆心地から約2キロの範囲内で焼失を免れた約160本の木々を「原爆被爆樹木」に指定し、ヒロシマ復興の象徴として大切に保存して来ました。しかし、政府が広島県に「G7広島サミット」に向けて景観を改善する周辺工事を指示したところ、県からその工事を請け負った土木工事業者が、京橋川沿いのシダレヤナギを被爆樹木とは知らずに伐り倒してしまったのです。
被爆樹木の登録に尽力した、被爆者で「広島原爆資料館」の元館長の原田浩さん(83)は、「ただ残念、という他にない。高齢化した被爆者が亡くなる中、樹木や建物などの役割が重要になっているのに…」と肩を落としました。これまた「GXの実現」に完全に逆行してますよね?
14%の自民党支持者のみがギャップ萌えする首相の「サミット外ヅラ発言」
そして、さらに広島県は、世界遺産に指定されている厳島神社がある「宮島」の県道約2.7キロのアスファルトの張り替え工事を、文化財保護法で定められた現状変更許可を得ずに、無許可で行なっていたのです。これも「広島G7サミット」に向けた公共事業で、政府の指示で実施されました。つまり、各国首脳が宮島を観光するかもしれないので、島内のメインの県道をきれいにしておく、という勇み足的な計画でしたが、「広島G7サミット」ありきで急いでいたため、必要な手続きをすっ飛ばしてしまったのです。
その上、サミット開催中に各国首脳らの宮島観光が決まれば、一般の観光客の入島を制限するというお達しが出されたのです。これに困ったのが、宮島の旅館の皆さんでした。新型コロナの5類への引き下げを受けて、どの旅館も予約がたくさん入っていたからです。しかし、直前に「首脳が観光する」と言われても、それから予約客に電話して断わることなどできません。
そのため、宮島のすべての旅館が、サミット期間の予約客に連絡してキャンセルしてもらい、休業を決めたのです。しかし、連絡の取れない予約客もいます。1泊10万円前後もする高級温泉旅館「錦水館」の志熊聡総支配人によると、サミット期間中は7割ほど予約があったそうですが、1件1件に連絡を取ってキャンセルしてもらったそうです。でも、海外からの予約の5組には、未だに連絡が取れないと言います。
そんな中、サミットまで1カ月を切った4月24日、広島サミット事務局から、「連絡が取れない予約客は取りあえず入島を許可するので営業しても良い」という内容の連絡があったのです。「錦水館」の志熊総支配人は、「(突然、そのようなことを言われても)これまで予約をキャンセルしていただいた皆様に対しても不公平ですし、今更営業するとなると私どもとしてもいろいろな準備がありますし…」と困惑しています。
仮に予約客を受け入れたとしても、首脳が宮島に来ている間は「外に出てはいけない」「窓を開けてはいけない」などの条件があるそうで、せっかく宮島に観光に来たのに、部屋に缶詰にされてしまうのです。その上、サミット期間中は商店街の外食店や土産店はすべて閉店しますし、目玉の厳島神社も参拝を取りやめるそうです。
「錦水館」の志熊総支配人は、広島サミットの意義を認めつつも、「誰かが、あおりを食うというか、しわ寄せを受けるということがあっていいのかなという疑問は禁じ得ません」と苦言を呈しています。
そんなこんなの「G7広島サミット」ですが、札幌での「G7環境相会合」では化石燃料を延命させたのに、広島では岸田首相が「GXの実現」を宣言する予定です。国会では「LGBT理解増進法案」ですら先送りなのに、広島では岸田首相が「多様性社会の実現」を宣言する予定です。日本は「核兵器禁止条約」にすら参加していないのに、広島では岸田首相が「核なき世界の実現」を宣言する予定です。
あまりにも外ヅラ重視で、「やってること」と「言ってること」が正反対の岸田首相にギャップ萌えするのは、有権者の約14%の自民党支持者だけ。大半の国民は、この厚顔無恥な首相の白々しい「広島サミットでの外ヅラ発言」の数々を、バッサリと伐り倒されてしまった原爆被爆樹木のシダレヤナギと同じように、下を向いて聞き流すことになるでしょう。