さすがに今日でこのシリーズも最終回でしょうか。
日本語学校で教える日本語文法と、中学校で習う学校国語文法の何が違うのか。
これまでは「活用形」について話をしてきましたが、実は「活用の種類」のほうがもっと大きな違いがあると言えます。
中学校国語文法では
「五段活用」
「上一段活用」
「下一段活用」
「カ行変格活用」
「サ行変格活用」
の5種類に分かれていますね。
これが古文になる「上二段・下二段・ナ変・ラ変」が加わって9種類になります。
では、日本語学校の文法はどうなっているか。
「五段活用 → 1グループ動詞」
「上一段・下一段活用 → 2グループ動詞」
「カ変・サ変 → 3グループ動詞」
というように、実は3種類しか「活用の種類」を設けていないのですね。
さて、これはなぜなのでしょうか。
その理由を説明して、今回のシリーズを締めることにしたいと思います。
まず「上一段活用」の活用パターンを再度確認します。
未然形 起き ない
連用形 起き ます
終止形 起きる 。
連体形 起きる 人
仮定形 起きれ ば
命令形 起きろ 。
つまり「イ、イ、イる、イる、イれ、イろ」と活用するのが「上一段活用」の活用パターンだということ。
次に「下一段活用」です。
未然形 食べ ない
連用形 食べ ます
終止形 食べる 。
連体形 食べる 人
仮定形 食べれ ば
命令形 食べろ 。
つまり「エ、エ、エる、エる、エれ、エろ」と活用するのが「上一段活用」の活用パターンだということ。
「イ」と「エ」が入れ替わっている以外、まったく同じなんです。
そして前回言ったように、外国人日本語学習者は通常「ます形=連用形」を基本として単語を覚えていくので、もともと「起き(ます)」と「食べ(ます)」の形は単語として頭にインプットされた状態で文法学習をスタートします。
だから、次のように運用すれば上一段・下一段を統合してしまっても何の問題も起こらないのですね。
起き(ます)&食べ(ます)を基準として、
未然形(ない系)……「ます形」のまま変えない……起き(ない)&食べ(ない)
意向系……「ます形」のまま変えない……起き(よう)&食べ(よう)
て形……「ます形」のまま変えない……起き(て)&食べ(て)
終止形(辞書形)……「ます形」に「る」を足す……起きる&食べる
仮定形……「ます形」に「れ」を足す……起きれ(ば)&食べれ(ば)
命令形……「ます形」に「ろ」を足す……起きろ&食べろ
このように外国人学習者は活用パターンを認識していきます。
上一段と下一段は彼らにとっては「同じもの」であって、勉強していくうちに、
あれ? 同じ2グループ動詞にも「イ」の音になるものと、「エ」の音になるものがあるな??
と勘の鋭い外国人学習者は気づくことになります。
「上一段」と「下一段」という概念を教えるとすると、このことに気づいた学習者が質問してきたときぐらいではないでしょうか。
一般的なカリキュラムではまず触れない内容だと思います。
ちなみに、3グループ動詞のカ変とサ変は「変格活用」という名前のとおりきわめて例外的な扱いをすることになります。
「来る=カ変」と「する=サ変」しかないので、活用はまったく異なるものの、要するに「丸暗記するしかないもの」という処理になるので、「丸暗記する以外に方法がない動詞=3グループ動詞」としてまとめて扱うことになります。
ということで長々と引っ張ってきたこのシリーズですが、一旦このへんで打ち止めとしておきましょう。
また何か思いついたら書くかもしれません。
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