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2023年3月2日実施、北海道公立高校入試のレビューです。
北海道公立高校入試 問題と解答
第1問(リスニング)
では、英語の第1問、今日はリスニングですね。
音源は以下から入手可能です。
まずは、新中3はリスニングの時間感覚をつかみましょう。
全部で11分22秒。
50分の試験時間のうち、この11分22秒がリスニングで使われてしまうので、読解や作文などに使える時間は40分もないということ。
ここを勘違いして、50分をフルで読解問題に使えると思い込まないように気をつけてください。
次に、2021年入試までと、2022年入試以降で、どのようにリスニング問題の形式が変わったかを確認しておきましょう。
2021年まで
3問構成で、すべて2回放送される
問1 対話を聞いて、合う絵を選ぶ
問2 対話を聞いて、次に続く発言を選ぶ
問3 スピーチを聞いて、質問に答える。
2022年
4問構成で、問1~2は1回しか放送されない。問3~4は2回放送される。
問1 対話を聞いて、合う絵を選ぶ(過去と同じ、回数減)
問2 対話を聞いて、次に続く発言を選ぶ(過去と同じ、回数減)
問3 スピーチを聞いて、質問に答える(過去と同じ)
問4 スピーチを聞き、質問への答えを空欄補充形式で作文する(新傾向)
で、今回の2023年も形式は基本的に2022年と同じです。
(問4が、「質問への答え」ではなくスピーチを自分で作る問題に変わっていますが)
ということは、次に指導要領が変わるまで大きな変化はなさそうですね。
2022年、2023年の形式が2024年以降も踏襲されると考えてよいかな、と。
問1
対話を聞いて、合う絵を選ぶ、従来どおりの形式(ただし1回読みに)。
No.1は「女子がバレーボール」「男子がサッカー」なので、それでイかウに絞って、質問がTomなのでサッカー=ウで決定。
No.2は「コンサート開始が2時」「開場が1時半」「家を出るのが1時」で、エを消去。質問が「開場」なのでイで決定。
質問を聞くまでにはエ以外は消せないが、「2時」「1時半」「1時」がどれも聞き取りやすいので、さほど難しくないかと。
No.3は「イタリア料理がNo.1=ア」「中国=アメリカと同じ=ウ」「中国より韓国が人気=イ」「フレンチ=たった5%=エ」で、質問が「中国」なのでウで決定。
どれも昔からよくある、最もオーソドックスな形式で癖のない問題。
難易度的には易しめと言っていいと思います。
トップ高狙いの人は全部取りたいですね。
問2
No.1がややレアな「付加疑問文」の出題なので、何を求められているか理解できなかった生徒が多そう。
イはともかく、「食べ物をくれた」と解釈してエを選んだ人もわりといるのでは。
No.2とNo.3は易しめだと思いますが、No.4が情報がちょっと複雑で難易度高め。
「明日一緒にバドミントンをしたい」
「①昼は家族と昼食なので無理だが、②その後でならOKなので、③3時集合」
要するに「OK」と答えればいいだけなのでエが正解なのですが、①の段階で「断られた」と勘違いしてしまったり、「一緒に食事に誘われた」と勘違いしてアやイを選んでしまう可能性はわりとありそう。
問2は例年あまり難しくないことが多いのですが、今年は問1より問2のほうが明確に難しいですね。
問3
対話を聞いて、次に続く発言を選ぶ、従来どおりの形式(ただし1回読みに)。
「すみません」の多義性という、おなじみの話なので聞き取りに自信がなくてもだいたい何の話か予想しやすかったのでは。
ただ、英語における「I'm fine」との対比が入ってくるので、あくまでも「I'm fine」は英語の話であると理解し、日本語の「すみません」の話と混同しないようにしないとグチャグチャになる。
ここで出てくる「I'm fine」の使い方が、それこそ日本語の「大丈夫です」とほぼ同じなんですよね。それがまた日本語と英語の話の区別をグチャグチャにさせてしまったのでは。
No.1でアを選んでしまうようだと、この時点でつまづいている証拠、ということになります。
No.3も、最初は日本語の話でスタートしておいて、最終結論が英語の話に変わってしまったので、そこが捉えられないと正解は出せない。
あと、そもそもvariousという単語がわからないと(聞き取れないと)かなりきつい。
結構難易度的にはきついと思います。
ただ、No.2は、あまり聞き取れてなくても話の大まかな流れ的にイだとわかってしまった人も多いのでは。
大学受験でも、本文がわかっていなくても問題文と状況から答えが見えてしまうケースはわりとあるので、そこは最後まであきらめずにいくべき。
問4
先生の指示を聞いて、指示にしたがってスピーチを自由に作文させる自由度の高い問題に変更されました。
・最も好きな季節を選んで書く(1)
・その理由を書く(2)
ここまではできた生徒が多いかと思います。
問題は最後の「好きな季節について書くことが目的ではない。ホームタウンに来たいという外国人に向けて書け」という指示を理解できたかどうか。
(3)で「季節」の話、つまり(2)の続きをただ書いて✕(△で許してくれる可能性あり?)になった生徒が非常に多いと予想します。
大問1はこんなところでしょうか。
去年のものよりは確実に難化している印象です。
国語もきつかったですけど、リスニングもなかなかですね。
第2問(語彙、疑問文)
理科で言うところの「第1問の小問集合」のような問題。
従来でいう「標準問題」に該当するので、本来確実に点を取っておかねばならないところ。
去年並みの難易度かと。
第3問(資料問題、短文読解、対話問題)
Aで資料問題、Bで短文読解、Cで対話問題という昨年度とまったく同じ構成。
A
資料を先に熟読するのは時間ロスが激しく、問題文から求められている条件を先に抑えてしまうほうが間違いなく効率的。
問1(1)犬&温泉、という条件をつかむだけで、(2)は選択肢から逆算して資料をチェックしてしまえばすぐに答えは出ます。
ただ(2)は「can't」なので、要するに「当てはまらないものを選べ」という問題。
問題文を読み間違えてアと答えてしまった生徒も結構いるのでは。
あと、(2)のエ、when the four campsites first openedを、「オープン時刻」という意味に解釈してしまった人も多そう。
もしその意味であれば、ウの選択肢と同様「what time」を使うはずですし、「first」の意味を考えれば「最初にオープンしたとき(=1995年7月オープン、のような)」という意味で解釈すべきでしょう。
B
「日本とアメリカの学校文化の違い」というベタなテーマなので、似たような文章を読んだことがある生徒も多いはず。このあたりは過去問演習量が効いてくるポイントです。
特に難易度の高い表現もなく、ある程度の学力がある生徒であれば十分余裕でクリアできるレベル。
ただ、とにかく高校入試の英文読解は
「接続詞that、間接疑問文、関係代名詞」
の3文法が命です。いくら易しめレベルとはいえ、この3文法が理解できていないようだと厳しい。
C
「都会vs田舎」という対立構造を先につかむと読みやすいのは、国語と同じですね。
英語は訳せてしまえば「簡単な国語」なので、結局最後は国語力で差がついてしまう教科です。
あとは「誰が都会派なのか、理由はなぜか」「誰が田舎派なのか、理由はなぜか」をつかまえていく。
細かい表現や文法をチェックするヒマはないので、とにかく「大意」を確実につかまえていくことが最優先。
次に「年寄りにとって」という新トピックが導入される。
ただ、やることは結局変わりません。
要するに「年寄り」を主体にして「誰が都会派なのか、理由はなぜか」「誰が田舎派なのか、理由はなぜか」を整理していくだけ。文章の最後までこれしかやることはないです。
国語(評論)の授業でいつもわたしが言っている、
「①テーマ・トピックの把握、②主張の把握、③対比の把握、④具体・抽象の言い換え、⑤因果関係の把握」
というメソッドは、英語長文読解でもそのまま流用が可能なのですね。
問1
「You mean~」という表現は最近頻出です。
「あなたは~意味する」と直訳すると意味が理解しにくいので、「あなたの言いたいことは~」と訳せるとスムーズ。
問2~問4は内容把握、対比関係の整理ができていれば解けるでしょう。
ここができないのであれば「解き方」ではなく、まずは「いかに読むか」に立ち返らなければならない。
小手先の「解き方」でどうにかしようという旧来の学習法から抜け出す必要があります。
問5
このタイプ、過去はわりと難易度の高い問題が多いのですが今回は易しかったですね。
本文読まなくてもここだけ読めば答えが出せる。
第4問(英作文)
テーマもよくあるものですし、特に書きにくい指示や条件もなく、ごく標準的なレベルの英作文だと思います。
いつも言っていますが、本番の試験では「ミスをしないように、置きにいった確実な表現を使うこと」が重要。
背伸びをしてはいけません。
かっこいい英語を使っても点は増えませんが、ミスをすると点は減ります。
ただ、そうやって安全な作文ばっかりやっていると力がつかないので、わたしは「難しくても、自分の言いたいことを言おうとしたチャレンジ作文」と「確実に点を取りに行く本番用作文」の2タイプを毎回作って練習しなさい、と言っています。
こんなところです。
大問2~4は特にこれといって、標準レベルの問題ばかりかな、と思います。
リスニングは難化していますが、それ以外は普通レベルではないかな、と。
国語の大幅難化に比べると、落ち着いた問題構成だという感想です。
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