イーストン - バットのルールを変えるブランド
日本でもかつてのミズノの金属バットの製造元としてある程度の知名度はあったイーストン。
マコトルクで復活したとはいえ軟式用としてはさしたるシェアを持たないメーカーではありますが…。
硬式野球においては米韓で4回もイーストンのバットが原因でバットのルールが変更、反発力が制限されたとんでもないメーカーなんです。
本来は紹介したかった某バットが全然届かないので、その時一緒に紹介するつもりだったイーストンによる反発力制限の歴史を振り返ります。
最初にして最大のインフレを起こしたのが2000年に登場したZ2K BZ2-K。
カイザーアルミ社との共同開発により生み出されたバット用金属の最高傑作ともいわれるSC500と呼ばれる金属に、内側は格子状に編み込まれたカーボンを組み込んだ二重構造のバット。
こんな感じ↓ですね。
この二重構造によりただでさえロストテクノロジーとさえ言われる高反発のSC500を金属オンリーより薄く設計しトランポリン効果を増幅させることに成功。
NCAAの大会本塁打記録、1試合最多本塁打記録をあっさり更新しました。
ルイスビルやディマリニもちゃんと金属バットを出してはいましたが、圧倒的な高反発のZ2Kにはまるで歯が立たず…。
反発力の制限を提案することに。
この制限が2011年まで10年間続くBESRになります。
しばらくは似たり寄ったりな金属バットを各社リリースしてきましたが、2007~2008年にBESRを脅かすバットが登場し始めます。
カタリストに代表されるカーボンを用いたコンポジットバットです。
出荷時が最高性能の金属と異なり、使用によってカーボンの繊維が徐々にほぐれて反発力が上昇すると言う性質上、イーストンのコンポジットバットは出荷時こそBESRを満たすものの、500球ほど打つとBESRを超えてしまう高反発を発揮してしまいました。
それがこのSTEALTH SPEED。
私もイーストンのBESRのコンポジットを持っておりますが…とんでもないですよこれ。
Vコングやらスカイビートやら、この辺の金属バットがアホ臭くなってしまいました。
こんな飛ばないクソザコ金属をわざわざ使う理由なんてないでしょう?
本気でそう断言できるほどの性能です。
飛距離の差が10メートルどころじゃないんですって。
ちなみに軟式用も実はリリースされましたが恐ろしいほど人気がなく、使用している選手はおろかヤフオクやらメルカリでも出品されているのを見た試しがありません。
しかし硬式用の方はこんな恐ろしいものが野放しになろうハズもなく、また性能を制限することに。
これが今日のBBCOR。ついに木製バット同程度まで反発力が制限されます。
これで高校・大学のいわゆる一般用カテゴリーは大人しくなったんですが…。
リトルリーグと韓国でまたイーストンのバットが大暴れします。
今度はこのPOWER BRIGADE XL1
こちらもステルススピードと構造は同じ2ピースのフルコンポジット。
一般用でもebayでそこそこの価格で取引されているのですが、恐ろしいのがリトルとシニア用。
一般用がBBCORで飛ばなくなったもので、韓国ではシニア用のXL12014年ごろから流行り始め瞬く間に市場最高のバットの座に君臨。
今までバットの性能に一切の制限がなかった何でもアリの韓国ですら、今年からついに観念したのかKBN1.21なる規格を設けることに。
リトル用も今年から新規格。USA Baseballでしたっけ?
そんなこんなで、わたしの知る限り4回もバットの性能を制限させてきたイーストン。
しかし我らが軟式野球においてはミズノのビヨンドマックス1強。
マコビーストトルクを複合バットとしてリリースするも全くと言っていいほど人気ナシ。
やっぱり軟式野球は難しい。