コスプレイベントの会場をSteadicamを担いで歩くビデオグラファーがいる。彼の名はマット・ペリッツァリ。プロ顔負けのハイエンドな機材でコスプレイヤーたちを撮影する参加者は少なくないが、そのほとんどがスチールの撮影で、彼のようにSteadicamを駆使してカメラワークにまでこだわっている参加者は他に見当たらない。今度は、自分のYouTubeチャンネルにハイクオリティなコスプレ映像を多数アップし、視聴者から人気を得ている彼の撮影現場に密着し、その舞台裏をのぞいてみた。例えば映画を見て「このショット真似したい!」と思ったら、それをコスプレ映像でやりたいし、ハイクオリティなコスプレ衣装を見つけたらそれを撮ってみたいし…いろんな面白さがあって答えるのが難しいですね(笑)。いつも思うのは、コスプレイヤーさんは自分でコスチュームを作って、アニメやゲームのキャラクターになりきる“パッション”がすごい。それは僕も同じで、ビデオグラファーとして、コスプレイヤーさんとの共同作業で良い作品を撮りたいというパッションがある。写真だけでは表現できない表情とか動きとか、1+1が3にも4にもなるような映像を一緒に作っていきたいんです。
カナダ出身。友人たちとゲームについて語るPodcastの配信をはじめ、YouTubeチャンネルも開設。今は日本に在住し、CMやMV、グラビア映像などの制作を手がけながら、コスプレ映像を撮影している。古今東西のヴィラン=悪役が夢の共演を果たす映像。各キャラクターのイメージショット、アクションシーン、炎を使った演出など、1日がかりで廃墟での撮影を実施した。コスプレイヤーたちはTwitterで参加を募ったという。日本に来た時、コスプレイベントで動画を撮ってる人がいなかったんです。「すみません、動画で撮らせてもらっても良いですか?」と聞いても、「ダメです」「なんで写真じゃないの?」と答える人も多かった。動画をNGにしているコスプレイヤーさんもいたみたいで、“動画は良くないもの”という風潮を感じましたね。でも、心の広いコスプレイヤーさんたちが「動画も面白いじゃん!」と言ってくれるようになって、今ではみんな僕のことを知ってくれているからラッキーな状況なりました(笑)。ただ、長い列ができている人気のコスプレヤーさんを撮りたいけど時間がない…そんなこともあるからイベントの撮影は難しいですね。
昨年末に東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット95(2018冬コミ)」の映像。ハイクオリティなコスプレを公開するレイヤーたちをドラマチックに撮影した。イベント系の動画は数十万回再生されることも珍しくない。当時はカナダに住んでいて、好きなゲームについて語るYouTubeチャンネルをやっていたんです。ある日、ゲームのイベントに行ったらコスプレイヤーがたくさんいて、ちょっと面白いなと思って写真と動画を撮ったのがきっかけですね。そこで撮ったイベントのコスプレ映像もYouTubeにアップするようになって、いつの間にかコスプレ映像専門のチャンネルになっていった。
ちょうど5年前ぐらい。日本の文化に興味があったからですね。特にアニメやゲーム。コスプレ映像は趣味だったんですけど、日本に来てからチャンネルを見てくれた人から仕事をもらえるようになりました。CM、MV、グラビア…今はいろいろやらせてもらっています。「鋼の錬金術師」が一番お気に入りのアニメ。ゲームだと「ゼルダの伝説」「メタルギア」「ペルソナ」…。僕のコスプレ動画は大好きなアニメやゲームの世界観を“リクリエイト”している感覚なんです。だから同じアングルやカメラワークを再現してみたいという気持ちもあります。現在はコスプレイベントの撮影だけじゃなくて、ひとつのアニメやテーマをリクリエイトするような作品も撮るようになりました。「Cosplay Cinematic」というシリーズで、YouTubeチャンネルにアップしています。