“でんぱれーどJAPAN”では歌曲の最後で他のメンバーが倒れ、センターで古川未鈴が一人立ってポーズを決める振付を、この日は夢眠が奪い自分がポーズを決め、観客からは笑いと歓声が響いた。すると、メンバーはステージを後にし、会場のスクリーンには武道館の楽屋が映し出される。「一回あれやってみたかったんだよねー。最後だし」と先ほどの振付を振り返るなど、わいわいがやがやとしたでんぱ組.incの楽屋を一人夢眠が出ていくとそこは自身が働いていた秋葉原ディアステージの中。そして、「一番大好きな曲」と語り、夢眠がアイドルとして最後に歌うことに決めたのは“WWDBEST”。2017年1月に同じく武道館で披露し、最上もがが脱退して以降は歌われていなかったこの楽曲が現メンバーで歌われるとは想像していなかったファンも筆者含め多かっただろう。曲名を告げると大きな歓声が上がった。アイドル夢眠ねむが最後に歌った歌詞は《夢で終わらんよっ》だった。
夢眠が懐かしそうにこれまでを振り返る中、ディアステージでライブをしている様子など夢眠ねむとでんぱ組.incの歴史が映像で映し出される。コスプレ衣装を変え、ステージに戻ってきたでんぱ組.incはここから結成当初の5人時代の楽曲を立て続けにメドレーで公開。“電波圏外SAYONARA”では元メンバー跡部みぅのパートを根本凪が担当。藤咲彩音はこの楽曲を踊るのが念願だった、と語った。また、“Kiss+kissでおわらない”が夏曲メドレーの1曲ではなく、フルで歌われたのもレアな選曲だったといえるだろう。「私がやりたかったのはこれでした!」と夢眠が語った通り、今度の武道館ライブでとても大きな意味合いを持つこのパートが、生バンドではなかったのも当時を再現してのことだったのだろうか。《月並みだけど「ありがとう…」/その先はまた今度ね/今まで過ごした全部が/私の宝》と歌詞がスクリーンに映し出される中、ソロで歌われたこの時ばかりはこの楽曲がアルバムの1曲を突破して、夢眠からファンへのお別れの言葉のように聴こえた。古川から花束が渡されるとメンバーたちにも涙が。古川が「寂しい」と語りながらも、「でんぱ組.incになってくれてありがとう」と伝えると、夢眠もファンに向けて「でんぱ組.incの一員になれて本当に良かったです。みんなのおかげで幸せでした。ありがとうございました」と最後のメッセージを伝えた。ライブは終盤に差し掛かり、しっとりとした胸に響く楽曲が続く。“くちづけキボンヌ”から“あした地球がこなごなになっても”の2曲では古川が歌の途中で涙を見せる場面も。会場のスクリーンに度々映し出される古川の涙に、その胸中を考えてしまい、こちらまでもらい泣きさせられそうになったのは筆者だけでないだろう。
生バンドに戻り、“Future Diver”の続編に当たる新曲“FD3,DEMPA ROCKET GO!!”を披露。“キラキラチューン”ではいつにも増して間奏のファンによるコールや、最後にメンバーが駆け寄って集合写真のようにポーズを決める振付がグッとくる。卒業曲である“エバーグリーン”を歌い終えると夢眠は自分のメンバーカラーである「ミントグリーン」をもらってほしい人が居ます、と切り出した。そして、2017年末に加入した緑色担当の根本の名前を挙げると「ミントグリーンになってくれませんか」とお願い。根本が力強く「はい」と答えミントグリーンは受け継がれた。自身の名前を襲名制にしたい、と語ってきていた彼女だったが、夢眠に憧れてアイドルになり、1年間共にでんぱ組.incとして活躍してきた根本に正式に「ミントグリーン」の精神が引き継がれた瞬間だった。“でんでんぱっしょん”で本編を締めくくると、会場からは割れんばかりの「ねむきゅん」コールが。バンドメンバーがステージに戻ると新曲“絢爛マイユース”のイントロが鳴らされアンコールがスタート。「もう一つの卒業曲」とも取れるこの曲の最後では、音源とは違い、夢眠がセンターに立ちソロで公開。他のメンバーがたくさんの花吹雪を舞わせて卒業を明るくお祝いしているような演出だった。