【読後感想文】菊と刀 | Do More with Less

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メインタイトルは尊敬するCG創設者の故小林彰太郎さんの書から引用しました

今回取り上げるのは、大学受験した人ならたぶん皆さんご存知ながら実際読んだ事の有る方はどのくらいいるのだろうかという本です。もちろん私も初めて読みました。

 

結論、日本人を理解するのに必読の書です。どうして今まで実際に読んでなかったのかを恥じました。まさに私が日本&日本人論に対してずっと疑問に思っていた事、そして既に山本七平さんによって明かされていた日本人の空気に対する宗教的価値観がもっと前の時代にアメリカ人によって明かされていた事に感銘を受けると共に、もしかしてアメリカ人によって行われたがために教科書には載るけどあまり浸透しなかったのではないかと、これまた本来有ってはいけないはずの勘ぐりをしてしまいました。

 

礼儀正しく尊大、保守的だが何でも受け入れる、従順でありながら上からの命令を無視する、忠実で寛容だが意地悪、勇敢で臆病、全てこの書からの引用ですがまさに日本人を言い当てていてしかも、普通には説明出来ないです。

 

著者はこの本を1944年あたりから書き始めたそうです。つまり終戦の1年前、アメリカから見たら当時の第二次世界大戦とは日本の奇襲攻撃に最初はやられたたその後持ち直した、まさにその過程で日本&日本人の本質を研究するために書かれた様です。

 

その洞察の適切さや深さがまさに全くその通りと言わざるを得ないと共に、ここまで的確に解析されたらそりゃやられてしまう、あるいはそういう戦略を当時そして今も日本が持ち得ない事に対するいらつきが生じました。

 

とは言っても実は日本の歴史の記述の中には明らかに勘違いしていると思われる表現や、今となっては事実誤認と思われる記述も多く見られます。しかしこの本が書かれた当時の状況を考えたらそこは大目に見るべきなのかもしれません。いやむしろ、その様な不確かな知識しか得られない状況でここまで日本を分析したというのは称賛に値します。

 

実は日本人の私としては、この本を読む過程で「ふざけるなこのヤロー」と思った事が何回も有りました。しかし振り返ってみるとですね、我々日本人はアメリカ人をはじめとする外国人がこの様な論評をする度に批判はしたものの、では逆に彼らをきちんと分析した事は有ったのかと問いたくなったのです。だから先の戦争には負けたのだし、その後の経済復興は素晴らしかったとしても今ではそれも過去の話になってしまった。

 

この思いを今の時代にわかってもらうなら、しばらく前に取り上げた論文の記事を挙げるのがいいでしょうか。

 

 

 

自分が書いた記事とあえて引用先のリンクも再度貼りましたが、日本人は穏やかに見えて実際は卑怯で意地汚い、その二面性がどこから来るのか、既に先の戦争の中期から末期にかけて解析されていて、受験生にとっては本の名前だけでも知る事が必須とされていたのです。

 

日本が再び世界の中でかつての位置を取り戻すために、こういう本の知識を得る事は重要です。そしてさらに言うなら、だったらそれを見習って我々も他国の人をもっと研究し、そこから学ぶべきではないかと思うのです。

 

ところで例によって思った以上に読破するのに時間がかかったのだが、電子書籍と違って紙書籍だとその分量がわかりやすいと思われるのであえて画像も貼りましょう。実はこのくらい文章がぎっちり入っていて、

 
この厚さなのです。

 

意外と長編で文章量が多かったです。よく話に出される割に実際に読んだ人が少ないのはそれも原因なのかもしれません。しかし決して冗長な内容ではなく、きちんとポイントを押さえた上でのこの分量なのだという事も記しておきましょう。

 

【追記】

最期にちょっと間抜けな話を付け足します。皆さんはこの本の著者についてどのくらい知っていましたか?私は全く知りませんでした。それも読了するまで。あとがきを読んで初めて知ったのですが著者は女性です。