週末の夜、仕事がおわって仕事がらみの飲み会に誘われる前にそそくさと家路についた。
あと数分で家に着くという時に携帯が鳴った。
同僚の誘いなら、絶対に断ろうと覚悟を決めて携帯を開く・・・画面には慶子・・・
地元のローカルスナックのホステスだ。
「アルファさん!今どこ?仕事おわった?お願いだから今日きて!」
ボリュームの壊れたスピーカーのようにデカイ声が携帯から響く。
「どないしてん?めずらしいな、いきなり電話なんかしてきて。声が大きすぎやで!耳が痛いやんか。」
「今までこんなお願いしたことないやろ?だからお願いやから今日きて!」
慶子とはもう10年以上になる。出会った時は二十歳だったが、確か今年の5月で三十路におなりになったはずだ。
確かにこの10年、慶子からメールも電話も営業というものを受けたことはない。
時々、くだらない日常会話はするけど・・
麻奈美に出会う前は、僕の中では落としたい女の第一位だった。![]()
何度かデートに行ったのだが、この娘も酒がすきでめっちゃ明るく飲むので、いつも口説くタイミングをのがしていた。
「いきなり来いってどういうこと?」
「どうしても付きたくないお客が今から来はんねん。こんなこと頼めるのアルファさんだけやもの」
今夜は帰ってバーボンでも飲りながら、トルーマン・カポーティの続きを読もうと思っていたのだが、女にこう言われて断れる男はいない。
「わかった。今から行くからまってて」
僕はスナック「P」をめざした・・・
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