カウンターだけの小さなダイニングバーで、僕たちは並んで座った。

かつてそうしていたように、僕が右彼女が左だ。
彼女は顔の左から見られるのがいやだったし、僕は右側の人と話すのが何となく苦手だった。

そういった意味でも僕らは、ほんとうは相性がいいと言える。

とにかく恨み言は言わず、詳しい質問もせず、僕らは乾杯し、再会を祝った。

お互いの近況報告を簡単にして、少しリラックスしてきたのか麻奈美自身から、一年半にも及ぶ今までの放置の理由を話しだした…

「とにかく、イロイロごたごたした事が次々に起こって、あなたとニコニコとメールなんかしてる場合じゃなくなったのよ」


「うん、それで?」


「時々来るメールは見てはいたから、気にはなっていたの」


「それで?」


「そのごたごたに対して、わたしなりに決着をつけたの…割り切ったとも言えるかもしれない。
それでメールしてみたの」


「で、そのごたごたというのは?」

「それは言わない(笑)」


時折見せる無邪気なその笑顔に、またしても心をわしづかみにされてしまった…
やっぱり、この女を忘れることなんてできそうにない…